ボールを消火栓に変えてみる子も
東京理科大学・神楽坂キャンパスの森戸記念館。この日、8人の子どもたちを迎えたプログラミングの講座は、山あり谷ありの約1時間半を経て、やっとゲームの完成にこぎ着けた。さっそく自分で作ったゲームで遊び始める子、形にしたばかりの自分のゲームをもっと改良しようとプログラミングを見直す子など、会場となった部屋の空気は前にも増して熱くなっていった。
「こんなのカンタン過ぎ! もっと(コウモリの)スピードを早くしなきゃ」
ずいぶん早くゲーム作りが進んでいる子がいると思ったら、すでに一度、同じ講座を受け、今回、2回目の参加だった。前回、ゲームはひと通り作り終えており、この日はその改良に取り組んでいた。ジャマするコウモリの動きが遅過ぎて、簡単によけられて面白くない。コウモリを動かすプログラム中の数字をいじると思ったようなスピードにできた。
別の子は、この日、作ったばかりの「ボールキャッチ」をさっそく改良し始めた。落ちてくるボールをグローブで受ければ得点になるというゲームだが、この子はボールの代わりに消火栓の画像を使い、しかも、その動きがジグザグになる仕掛けを加えた。空から黒光りした消火栓がガサガサ落ちてくる。まるでゴキブリだ。作った当人も「わー、キモチ悪りぃー」と言いいつつも、実はけっこう気に入ったようで楽しそうに遊んでいる。
その向かい側の女の子は、ボールの両脇に2匹の虫を加えた。ボールをグローブでキャッチすれば得点になるが、虫に触れたら減点になる。ボールと同じプログラムのブロックを使い、画像を虫に置き換え、得点をマイナスにすれば良い。工夫しだいでゲームはがぜん面白くなっていく。
「ええっとねえ、今度は宝箱にタッチしたら、(ハンターの)子どもがいっぱい生まれるようにしたいんだけど……」。また別の子は、ゲームを自在に改良できるとわかり、どんどん発想を膨らませていく。
「うー、できないことはないけど……」。思いもかけない要望に講師は頭を抱える。かなり複雑なプログラムになるようだ。