EU離脱。英国民を「もう十分だ」と思わせたのは

【Interview】鶴見大学文学部名誉教授・相良英明先生

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ロンドン レスタースクエア

カズオ・イシグロにブッカー賞を授けたイギリスが……

なるほど、イギリスはとうの昔から「多民族国家」というわけだ。「もうこれ以上は十分だ、という国民の思いが離脱を選んだ背景にある」と相良先生は見る。

もちろん、「多民族国家」である恩恵も大きい。たとえば、多くの移民を受け入れてきたことが、文化的にもさまざまな融合と発展をもたらしてきた。

「建築、美術、音楽、料理など、あらゆる面で外国文化を受容してきました。文学ひとつとっても、出自を問わず受け入れ、イギリス文学史に名を連ねる作家も大勢います。イギリス最高の文学賞ブッカー賞を受賞したカズオ・イシグロは長崎生まれの日系イギリス人。ナイジェリア出身のベン・オクリという作家も活躍して、大英帝国勲章を受勲しました」

イギリスの2年後は?

異民族を受け入れて文化を豊かにしてきたイギリスが、難民受け入れにNOを示し、EU離脱を選んだ。なぜ「今」なのか?

イギリスでは異文化融合や異文化共生がかなり進み、ある意味で『飽和』に達しています。EU離脱という選択は、その反動と見ることもできるでしょう」

イギリスは今後2年内に離脱手続きを完了させる必要がある。イギリスの選択する道は、ヨーロッパ全体、そして日本にも影響を及ぼしていく。

 

2017年4月14日取材

文/小島和子 写真/小島和子(講義写真)、小学館SVD、黒田なおみ(風景写真)

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