「言ってくれればやったのに」と言うのが男、その言葉にキレるのが女

男脳と女脳

家庭や職場で絶え間なく起こっているのが、男女間の誤解やすれ違いだ。職場の同僚同士ならいざ知らず、お互いの性格をよく理解しているはずの夫婦でも、「なんでそんなことで怒るんだ?」と理解できずに戸惑うことも多い。そうした時に役立つのが、脳科学や心理学の知見だ。男女間の誤解やすれ違いを生む、脳差について考える。

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あなたは妻の気持ちを察しているだろうか (C)Daniel-Ernst/Fotolia

家庭や職場で絶え間なく起こっているのが、男女間の誤解やすれ違いだ。職場の同僚同士ならいざ知らず、お互いの性格をよく理解しているはずの夫婦でも、「なんでそんなことで怒るんだ?」と理解できずに戸惑うことも多い。そうした時に役立つのが、脳科学や心理学の知見だ。男女間の誤解やすれ違いを生む、脳差について考える。

女性の井戸端会議が長引くわけ

女性を理解するキーワードは「共感」だ。
参考記事転びそうで転ばなかった話をするのが女、転んだ話をするのが男

他人の話や他人の経験に共感することによって、女性は他人の体験を自分のデータベースに入れることができる。それはたとえば、ダメンズ情報だったり、嫁姑バトルの戦い方だったりする。しばしば女性の井戸端会議は長引き、「わかるわかる~」「うちもそうなんだよね」といった、感情を交えた深い共感が繰り返されるが、これは感情を交えることで強く記憶しデータベースに保存するのに必要な手順なのだ。

なぜ女性は多くの情報をデータベースに保存したがるのか。

それは女性が子供を身ごもり育てる性として、想定される危険から自分や子供の身を遠ざけるために一つでも多くの情報を得ようとするからだ。つまり、リスクのデータベースを充実させておこうとするのである。

男にとって危険は日常茶飯事すぎて……

そして共感と同様、「察する」ことでも男女の脳は大きく違う

明治大学リバティアカデミーの公開講座「男女脳差理解と感性マーケティング」で講師を務める感性リサーチ代表取締役社長・黒川伊保子氏は、「男女の脳は全く別の装置なのです」と言う。黒川氏はAI(人工知能)の研究の過程で、男性脳と女性脳ではあらゆる領域で大きな違いがあることに気づいたという。

女性は「察する」天才だ。小さな子どもに絵本を読んであげて寝かしつけ、スヤスヤと眠る姿にほっとして自分も床につく。だが、翌朝、子どもは熱を出し、頭を冷やさなければと冷蔵庫を開けると、なぜか氷がいつもよりも大量にできあがっている。無意識に子どもの異変を感じ、前日からタンクを満タンにしていたのだ。

だが、男性はそうではない。長らく狩りをしてきた歴史の中で、男性にとって危険は日常茶飯事。危険に遭遇しても信号はすぐに沈静化し、次の危険に備える。共感や察することは二の次だ。

「言ってくれればやったのに」に傷つくわけ

だから女性は、あらゆることを察し察してもらえれば自分が愛されていると感じる逆に察してもらえなければ深く傷つく。

共働きで疲れているのに、食事だって妻が一人で作ったのに、流しの中には洗い物が山積み。せめて皿洗いするか、お風呂に湯を入れるかくらい、してくれればいいのに……。でも夫の答えは

「言ってくれればやったのに」

正月、義実家には大勢の親戚が集まってどんちゃん騒ぎ。「お燗が足りないよー」「急須にお茶入れて」 体がいくつあっても足りないくらい。なのに夫はにこにこお酒を飲んでばかり。「あなたの親戚なんだから、あなたが相手してよ!」とキレる妻に、夫の答えは

「言ってくれれば手伝ったのに」

こうしたことに「言われなきゃわかんないの!」と思った女性は多いはずだ。夫がリタイア後、夫婦2人で顔をつきあわせた生活が始まると、3年目の女性の心疾患の死亡率が跳ね上がるという。共感や察することがされない生活は女性にとって命に関わる大問題なのだ。

男は根拠を求め、女は直感を信じる

察する能力は職場でも大いに有効だ。特に女性が大切に思うことについてはことさらその能力は発揮される。

店舗をチェーン展開するある経営者は、悪条件にも関わらず売上が落ちない店があることに気がついた。コンサルタントに調査を依頼してもっともらしい結果を得たが、どうもしっくりと来ない。だが、現場へ行くとすぐに理由がわかった。女性スタッフたちが店を大切に運営していたのだ。

また、こんな話も。人事部で働くある女性は、優秀なエンジニアがヘッドハンティングされていると部長に告げるが「根拠は?」と問われ「直感です」と答えて相手にもされなかった。

だが、ひとりふたりと転職を言い当て、それが3人4人と続くと、ようやく部長も彼女を認めざるを得なかった。それでも「根拠は?」と言い続けていたという。

男性とはそういうものなのだ。

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◆取材講座:「男女脳差理解と感性マーケティング」(明治大学リバティアカデミー)

文/まなナビ編集室

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