日本では600~700年代、『形法』に基づいて、平城京や平安京が設計・建設されたが、その後、江戸時代に『理法』が流行した。しかし韓国では現在でも、地理・地形を重要視する『形法』が主流のために、いま日本と韓国は、風水思想がかみ合わないようだ。
そして、中国と直接国交を持っていた琉球(沖縄)では、明代中国の風水思想の影響を受けて、福建省系の『理法』が広がった。そのため、直接中国に留学生を派遣せずに独学で家相学を作り上げた本州とは異なる、独特な『理法』の風水思想が根づくことになった。
今の日本で広がっている風水は、家相や九星気学などをアレンジした日本独自のもの。“当たるも八卦、当たらぬも八卦”の占い感覚だ。本来の「環境アセスメントとしての風水」を正しく理解したいのであれば、中国古来の風水やそれに影響を受けてきた、1400年にわたる日本の風水思想の歴史を、しっかりと学ぶべきだろう。
協力(中国ヤオトン写真)/ものつくり大学 建設学科 八代克彦研究室
〔歴史を学ぶ講座〕民俗学から読む古典(後期)
戦国武将の手紙
〔今日の名言〕風水思想の吉凶は、因果応報の考え方と同じで、科学では証明できないけれど、7,000年もの歴史がその答えである。
〔大学のココイチ〕渋谷キャンパス内の「國學院大学博物館」は入館無料。考古・神道・校史の3つの部門で大学が蓄積した貴重な資料や研究成果が、見やすく展示されている。
取材講座:「続・風水思想と東アジア」(國學院大学オープンカレッジ2017年春期)
文/まなナビ編集室 写真/まなナビ編集室(講座風景)、(c)zhengzaishanchu、(c)kurosuke、(c)s60a / fotolia