“認知症物質”がたまり始める年代は?

【連載】認知症、ならないために:こぼれ話編 その1

Q“認知症物質”がたまり始める年代は?

a 30代から
b 40代から
c 50代から

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Q“認知症物質”がたまり始める年代は?

a 30代から
b 40代から
c 50代から

アルツハイマー型認知症を引き起こすと考えられているのが、「アミロイドβ」というタンパク質です。若いうちは体の中で自然に代謝されるタンパク質ですが、40代からだんだん脳にたまり始めます。よって、答えはb

認知症予防策も、遅くとも40代から始めることが必要なのです。

予防策としては、まず運動不足の解消と食生活の見直しですね。軽い運動を1日1時間ぐらいできれば理想的です。食事の注意点は、基本的にメタボ対策と似ています。

「塩分や油っぽいものはなるべく減らし、野菜や魚介類を多めに」を意識することが大切です。

さて、「アルツハイマー型認知症」といいましたが、認知症とひとくちにいってもいろいろな種類はあり、その原因になる病気は実に70以上もあります。そのなかで、もっとも代表的なものが「アルツハイマー型認知症」で、認知症の約6割を占めています。

アルツハイマー型認知症の人は、記憶を司る脳内の「海馬」と呼ばれる部位が萎縮しています。そのため、はじめに現れる症状は「もの忘れ」です。日々の体験を覚えていない、約束を忘れる、新しいことを覚えられない、などといったことです。

次に「見当識障がい」という症状が見られます。これには、今日が何日かわからない、何年かわからない、今自分がいる場所がわからなくなるといった症状が見られます。

たとえば、「えーと、今日は何日だっけ?」「20日でしょ」というやりとりも日に1回だけならよくある話ですが、1日に何回もするようになると、認知症の疑いが出てきます。

このアルツハイマー型認知症の脳の萎縮の原因になっているのが、脳にたまった「アミロイドβ」なのです。なぜたまるのかは、今はまだわかっていません。

ちなみに、この「アミロイドβ」というタンパク質は肉や魚などの食品に含まれているわけではありません。食事から直接、体内に取り込まれるものではないのでご安心を。

(ひとくちメモ)◎認知症を診るのは何科?
認知症を専門にした診療科はありません。主に、神経内科、精神科、脳神経外科などが診ています。受診する医療機関の情報は、かかりつけの医師に相談し、紹介してもらうといいでしょう。かかりつけ医師がいない場合、各都道府県や自治体の「認知症コールセンター」「地域包括支援センター」に電話でたずねてみましょう。

(「認知症、ならないために」は毎週日曜15:00更新予定)

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■監修■伊古田俊夫
いこた・としお 1949年生まれ。1975年北海道大学医学部卒。勤医協中央病院名誉院長。脳科学の立場から認知症を研究する。日本脳神経外科学会専門医、認知症サポート医として認知症予防、認知症の地域支援体制づくりに取り組んでいる。著書に『40歳からの「認知症予防」入門』(講談社)など。

[伊古田先生からのメッセージ]→「認知症予防とは、認知症を『先送り』することです」
認知症を「予防する」ということは、「一生、認知症にならない」ということではありません。認知症の原因は、今もわかっていないからです。確かなことは脳の老化だということ。ですから認知症を100%予防することはできませんが、発症する年を「遅らせる」ことはできます。いわば認知症の先送り。これが予防策をみなさんに広く知ってもらいたいと願う理由です。

文/佐藤恵菜 イラスト/みやしたゆみ

-健康・スポーツ, 教養その他
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