認知症予防に有効なサプリメントは?

【連載】認知症、ならないために:食生活編 その5

Q 認知症予防に有効なサプリメントは?

a マルチビタミン
b 水素サプリ
c 効果が実証されたサプリメントはない

  • 公開 :

Q 認知症予防に有効なサプリメントは?

a マルチビタミン
b 水素サプリ
c 効果が実証されたサプリメントはない

ドラッグストアやコンビニには、たくさんのサプリメントが並んでいます。認知症の予防に有効なサプリメントはあるのでしょうか? あるならぜひ、試してみたいと思う方も多いでしょう。しかし残念ながら、有効性を示すエビデンス(証拠となるデータ)のあるサプリメントはありません。

答えはcです。

そもそもサプリメントは食品です。医薬品ではないため、効果効能を実証することがむずかしいという事情があります。

aのマルチビタミンはビタミンA、B群、C、Eなどがバランスよく配合されたビタミン剤です。bの水素サプリは最近話題の水素水のタブレット版ですね。水素水には抗酸化作用があると言われていますが、これも今のところエビデンスがあるわけでありません。

ただ、エビデンスがないからいけないとか、飲んでもムダ、と決めつけることもないと思います。サプリメントに関心をもつこと自体、健康へのアクティブな姿勢の表れだからです。

認知症予防には日々の食生活が大切になります。サプリメントに頼らずとも、ふだんの食事からバランスよく栄養を摂るのが理想です。次のような食品を継続的に食べている人たちの認知症発生率は、食べていない人たちよりも30%以上、低いことがわかっています。

・魚介類:特にイワシやサンマ、アジなどの青魚。DHAやEPAが豊富です。
・野菜や海藻:緑黄色野菜、ナス、トマトなど。
・大豆食品:納豆、豆腐など。
・そのほか:乳製品、イモ類、果物など

とはいえ、忙しい日々、毎日バランスよく食べることはなかなか大変かもしれません。ちょっと栄養が足りない、かたよっていると感じた時に、それを補う意味でサプリメントを取り入れてもいいと思います。栄養バランスに気をつけて、サプリとも上手につきあってください。

(ひとくちメモ)◎治る認知症とは?
一般に認知症は治らない病気ですが、中には「治る認知症」もありますので、頭の片隅に置いておいてください。内科の病気で「甲状腺機能低下症」や「ビタミンB12欠乏症」、脳の病気で「特発性正常圧水頭症」による認知症です。厳密にはこれらは認知症ではなく、認知症にとてもよく似た症状が出る別の病気です。

*「認知症、ならないために」は今回が最終回です。認知症関連の新連載は、10/1から毎週日曜更新予定です。ご期待下さい。

学びと私コンテスト

〔あわせて読みたい〕
認知症予防に効果的な栄養成分とは?
若年性認知症の診断・発見が遅れるのはなぜ?
喫煙と認知症、関係がある!?

■監修■伊古田俊夫
いこた・としお 1949年生まれ。1975年北海道大学医学部卒。勤医協中央病院名誉院長。脳科学の立場から認知症を研究する。日本脳神経外科学会専門医、認知症サポート医として認知症予防、認知症の地域支援体制づくりに取り組んでいる。著書に『40歳からの「認知症予防」入門』(講談社)など。

[伊古田先生からのメッセージ]→「認知症予防とは、認知症を『先送り』することです」
認知症を「予防する」ということは、「一生、認知症にならない」ということではありません。認知症の原因は、今もわかっていないからです。確かなことは脳の老化だということ。ですから認知症を100%予防することはできませんが、発症する年を「遅らせる」ことはできます。いわば認知症の先送り。これが予防策をみなさんに広く知ってもらいたいと願う理由です。

文/佐藤恵菜 イラスト/みやしたゆみ

-健康・スポーツ, 教養その他
-, ,

関連記事