【1】1億円
【2】5000万円
【3】1000万円
60才以降の老後の生活、これくらいかかる
老後にかかるお金がいくらかなんて、簡単に答えられる人はそんなに多くはないのではないでしょうか。なんとかなるのじゃないかと、考えるのを先のばしにしていたとしても、今後の人生計画にとって、お金のことは避けて通れません。まず、ある程度の目安を立てるため、老後の生活にかかる支出の平均を調べてみました。
総務省の『家計調査年報(平成28年)』によると、高齢夫婦無職世帯(夫65才以上、妻60才以上の夫婦のみの無職世帯)の家計の支出合計は
月額26万7546円。
高齢単身無職世帯(60才以上の単身無職世帯)の支出合計は、
月額15万6404円。
日本人の平均寿命は、男性が80.98才、女性が87.14才(厚生労働省『平成28年 簡易生命表』より)です。夫婦が同級生だと仮定して、60~80才までの21年間は夫婦で暮らし、夫が亡くなったあと、妻が81~87才の7年間に一人暮らしをするとします。
そうすると、60~80才までの支出合計が
月額26万7546円×12カ月×21年=6742万1592円
81~87才までの支出合計が
月額15万6404円×12カ月×7年=1313万7936円
つまり、60~87才までの支出合計は
約8000万円
となります。
さらにゆとりある老後を送ろうとすれば
生命保険文化センターの調査によると、「ゆとりある老後を送るために必要と考える生活費」は、約34.9万円という結果が出ています(『平成28年度 生活保障に関する調査』より)。
上記で計算した生活費月額26万7546円との差は、8万1454円。つまりゆとりある老後を送ろうとすれば、さらに以下の金額が必要になります。
8万1454円×12カ月×21年=約2053万円
上記の支出合計約8000万円にこれを加えると、ゆとりある老後に送る場合、かかる総額は合計1億円を超えます。
老後は、毎日が日曜日で、使える時間も増えるので支出も多くなりますし、たまに温泉旅行に行く、お孫さんにお祝いやプレゼントすることなども考慮すると、1億円は必要という計算もあながち外れてはいないように感じます。
また、現在40~50代という世代以降は、今の平均寿命より長生きする可能性がありますので(平均余命から算出可能)、この程度の上積みは想定しておいた方が無難かもしれません。
このほか医療費、介護費、住宅改修費用なども
これに、医療費や介護費、住宅修繕費等が加われば、さらに必要なお金は増えていきます。すべての人に全部の費用が必要になるわけではありませんが、ザックリ見積っても、やはり1億円かかる、となります。上の問いの答えは、【1】の1億円でした。
この支出は、各種調査から試算したあくまで参考の金額です。人によって異なることは当然として、お金をかけないように生活を工夫したり、現役世代であれば年金や貯蓄を増やすことに真剣に取り組んだりすれば、老後の生活は変わっていくでしょう。老後のお金を考えることは、「老後の生き方」を改めて考えるきっかけになるかもしれませんね。
◆アドバイス:志村直隆(ファイナンシャルプランナー/がん治療コンサルタント/2017 MDRT終身会員)
取材・構成:生島典子(フリーライター) イラスト:とげとげ。