白い垂れ幕を見たのがきっかけで大学院に通うことに

【Interview】 45才のビジネススクールライフ(前編)@法政大学経営大学院

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「中高年にとって、記憶力との闘いはたしかにツライものがあります(笑い)。とくに1次試験は7科目あるので、7つの皿を同時に回す皿回しみたいなもの。あっちのお皿を回していると、こっちのお皿を忘れていて、大変でした(苦笑)。なので、ひたすらノートに書いて手に覚えさせました」

「それと、自分に合うテキストを探しましたね。デザインや質感など、自分にフィットしないと頭に入らないので、合わないものはさっさと新しいものに変えていました」

「あとは、生まれて初めて30分刻みの手帳を買いました。年間スケジュールを立てて、月間、週間、デイリー、時間に落としていく。そうしておくと、進捗状況がわかるし、勉強のリズムが作れるので役立ちましたよ」

大学受験と違うのは、自分の学習パターンがわかって、開き直れることじゃないでしょうか。たとえば、夜に何やっても頭に入らなかったら早く寝るとか、行き詰まったらさぼるとかのメリハリがつけられる。その方が“生産性”をアップさせられると思うんです」

かくして2次試験。惜しくも不合格だったが、そこで、修了すれば2次試験免除となる法政大学経営大学院の存在を知る。MBA(経営管理修士)にも興味があった高田さんは、1年間で中小企業診断士の資格とMBAも取得できるコース(昼間MBA特別プログラム)に進学した。

「金融機関での仕事は、(中小企業診断士と)結構近い現場だと思っていたのですが、金融機関側と経営者側では真逆のモノの見方をすることが新鮮でした」

「私がいた金融機関側(審査)は、経営上、不確実な要素を排除しなければいけないので、どうしても審査して、たたく形になってしまうんです。人員が少なければ、それが問題(リスク)、で終わり」

「でも中小企業診断士として経営者側に寄り添うと、そのリスクが個性になります。『人員が少ない中でも、こういうスキルを持った人がいるなら、こんなマーケットでより効果的に売れますよ』と一緒に考えて差し上げることができる。この方が、より建設的で楽しいと思ったんです」

体力がもたないとか、家族に迷惑がかかるとか

高田さんが大事にしているのは、“面白そうだな”という直感。

大学入試も、就職も、習い事も全部直感で決めていて、計画性がないんです(笑い)。でも、人生ってワクワクするかどうかじゃないかなって。年齢を経ると計算しちゃうじゃないですか。こんなことこの年齢で無理だとか、体力がもたないとか、家族に迷惑がかかるとか、仕事どうしようとか。考えすぎて、かえって機会を逸しちゃうことってよくありますよね。でも実は、やっちゃったらなんとかなる。

というか、いつまでも“今”が続くと思うのは、根本的に間違ってるんじゃないのかなって思ったんです。収入のことも年齢のことも考えるのはやめようって。いつ何があるかわからないって。身内の不幸があったりすると余計にそう思いますよね。だから、“気になったことはやってしまえ”。これが夫と私の共通言語なんです」

卒業後、中小企業診断士としての仕事はもちろんだが、それ以上にやってみたいことがある。

「定年したかたや、子育て中の女性、ハンディキャップを持ったかたなど、なんらかの事情で活躍できる機会が失われている人が、もう一度アクティブに稼げるような場ができないかと考えているんです。どうやって計画書をまとめるんだって教授にはつっこまれてますけど(笑い)」

充実ぶりがうかがえる高田さんの大学院生生活。しかし、この1年を振り返ると思い出すのは「リンコス」だ――

「家事、全然しなかったですね(苦笑)。こんなに家が汚くても大丈夫なんだって知りました(笑い)。勉強が間に合わなくて学食にも行けないことも多かったので、朝、法政の前の『リンコス』でお弁当を昼と夜の分を2個買って、教室に行くんです。家のごはんも『リンコス』のお惣菜。夫には“スマン!”の連続でした」

(続く)

文/まなナビ編集室 写真/Adobe Stock

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