高校卒業後、現役で合格した第一志望の大学に進学しましたが、持病の悪化により通学が困難で、大学三年の春にはすでに留年が確定してしまいました。持病も悪くなるばかりなうえ、五年間分の学費を払う余裕は家にはなく、泣く泣く中退しました。
とても悔しかったです。やりたい勉強ができる学部なのに、病気とはいえ、自分のせいでその道が断たれたのだと落ち込む毎日でした。
大学中退が決定した時期に、「大学中退」でよくインターネットで検索をかけていました。
そんな時に見つけたのが、通信制大学の存在でした。
毎日の通学は必ずしも必要ではなく、レポートや試験や短期のスクーリングを受ければ、単位を取っていくことができる。最大在籍期間は十二年(私の通っていた通学制大学は、八年まででした)。社会人や、主婦や、定年後の方、私のような大学中退者など、さまざまな人たちが充実した学びの日々を送っていると知りました。
なにより私が助かったのは、学費がとても安いことでした。入学金を含めても、年間で十万ちょっと。私のそれまで通っていた大学は年に百万以上の学費がかかったので、最初知ったときは思わず「ほんとうに大学なの?」と疑ってしまったほどでした。もちろん、学士が取れる正規の大学でした。通信大学は在籍者がたくさんいるので、相互補完的に学費が安いのだそうです。
私は大学を中退した夏の一か月間、慣れないバイトをして、学費をためました。そして通信制大学に秋入学しました。
最初の一年は自宅学習をして、レポートと試験でコツコツ単位を取りました。
私の通う通信大学は、通学制とおなじような形での昼間のスクーリングがあることが特長で、二年生のときから授業にも参加することにしました。
とはいえ、通信大学なので、すべての日程に授業を詰めなければならないということはありません。私自身も、まずは週に一日からとか、持病とあわせてほんとうに無理ない感じで進めていきました。
授業に顔を出すようになると、いろんな知り合いの方もできました。私のように大学を中退したひと。身体に障害があるひと。経済的事情で大学に通えなかった社会人のひと。定年後に学び直したくて来たひと。
そういうひとたちと親しくなって話をしていると、とても気が楽になりました。みなさんほんとうにいろんな事情があって、私のように大学を中退したということも、そんなにおかしいことでもないのだと気づけました。
どの境遇のひとも、たとえハンデがあったとしても、学びに対する話をするときはみなさん目がキラキラ輝いていました。
おもしろいことに、授業中の態度は私がそれまで通ったどの学校よりもよく、盛んに質問が交わされていました。いまどき、こんなに熱心な大学があるのかとびっくりしたほどです。
おそらく自分自身で学びたいと思ってみなさんいらしているからでしょう。学びに対してみなさんとても真剣な学校です。
私は今、通信大学の卒業に向けていよいよ卒業論文を作成しています。
大学中退したときに諦めなくてほんとうによかったと思ってます。
経済的事情、身体的事情、時間的事情。多くの人が、学びたくとも、さまざまな事情を抱えていると思います。
そういう人に私は迷わず私の母校をおすすめしていきたいです。
通信大学は、学びたいという意欲さえあれば、だれに対しても門戸を開きその情熱に応えてくれる大学だ、と日々強く感じております。
(作文の一部に編集室が文字の修正などをしています)