英会話から身に付くもの〈金賞受賞作文〉

12月の金賞受賞作文/「学びと私」作文コンテスト

志す人も多いけれども続けられる人も少ない、それが語学学習です。その理由のひとつに、目的が見えるようで見えにくいことがあります。少し話せるようになった先に何があるのか。その一つのヒントが、このあかりさんの作文にあります。本当に大事なものは、学びの先にあるんですね。

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金賞受賞作文

イメージ写真 (c)polkadot/fotolia

志す人も多いけれども続けられる人も少ない、それが語学学習です。その理由のひとつに、目的が見えるようで見えにくいことがあります。少し話せるようになった先に何があるのか。その一つのヒントが、このあかりさんの作文にあります。本当に大事なものは、学びの先にあるんですね。

英語で接客をできるようになりたい

 ピアノにバレエ、絵画。私は色んな習い事をしてきました。集まるのは、だいたい同世代の女性。共通している目標は、“それ自体が上手くなること”。上手くなって発表して褒めてもらい、自分が満足する。そういうものでした。

 しかし、『英会話』だけは、違いました。“話せるようになって何がしたいか”、その先の目標が一人一人違うのです。海外旅行に行きたい人、地元の外国人と話したい人、私のように仕事で使いたい人。だから、教室に集まる人も様々。

 “英語で接客できたらかっこいいだろうなぁ…”

 外国人のお客さんは、たいていニッコリ笑って声をかけてくれます。なのに、店員の私が顔をこわばらせてしまうのは失礼で残念な話。スムーズに英語で接客することが何よりの目標でした。

 憧れを胸に私が訪れたのは、カルチャーセンターの初心者クラス。初めて70代の男性と机を並べました。

「隣の人とペアになって、先週の日曜日にしたことを英語で話しましょう」

 レッスンの最初はいつもそんな感じでした。

「…うん?なんだって?」

 耳の遠いおじいちゃん。私は買えそうにないような立派な電子辞書を持っていました。私は、アメリカ人講師の出したお題をおじいちゃんにゆっくり説明してから自分の話をしました。

“ええと、好きなアーチストのライブDVDを観た…は、わかりにくいか。美味しいパンを買った話にしようかな”

相手を知ろうとすることがまず第一歩

 相手がわかる内容でなければ会話が成り立たないので、気を遣います。食べ物の話題は、どんな人とでもわりと会話が続きました。毎週、色んな視点で社会問題や自分の趣味を語りましたが、英語を話すという以前に、相当の気配りが必要でした。

 気付けば私は、普段は交流しない人々の世界に入り、相手を知ろうとする姿勢が身に付きました。

“それで?あなたはどうしたの?”

 意識的に『人』に興味・関心を持たなければ語彙も表現も身に付きません。

 初心者クラスを終えた時、私はペラペラに喋れるわけではありませんでしたが、言葉に加えて表情や身振り手振りで何とか伝えようとコミュニケーションを取るようになっていました。

“外国語を学ぶってこういうことか”

 たくさんの人と話すことで、語学以上のものを学べた気がします。実際に外国の方と英語でコミュニケーションが当たり前にできるようになったら、私は自分の人格そのものも、さらに明るく積極的になると思いました。

 今、自分の子ども達は習い事をしていませんが、情操教育や人と関わる力をつけるために語学を学ばせるのも、ありだなぁと思っています。

 

あかりさん(39歳)/岩手県/最近ハマっていること:子どもと替え歌大会

(編集室が文字の修正や改行などをしています)

 

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