介護に感謝です

11月の一次審査通過作文/「学びと私」作文コンテスト

浪久千春さん(54歳)/東京都/最近ハマっていること:お笑い、落語

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浪久千春さん(54歳)/東京都/最近ハマっていること:お笑い、落語

11月12日美術検定。33年ぶりに試験勉強、試験を受けて来ました。

30年間会社勤めしてました。転職はしましたが、1日も開けず休憩せずに、御給金もらって来 ました。事あるごと、主人と子には「独り身15年間は、この部屋の埃だって自分 で稼いだものよ。誇りよ。」と思って生きて来た、と、言ったものです。

昨年、 義母の介護のため、退職しました。 義母は、故郷の長野で洋裁、聖心女子で英文学と、2つの大学で学んでいます。17年前、嫁入りした当時、英語は私なんぞ よりよっぽど読解は出来るようで、ベッカムばやりの時は「あの人の英語は、○○ 訛りがあるようで、がっかり」。さらに「平山郁夫は芸大の学長を2度もやって いて芸術家としてはねえ」などと、私なんぞにはない知識博学な人でした。おまけに「関ジャニ∞は8人じゃないのよねえ」と、全てに関心、飽くなき探究心のある人でした。

それが、それが、です。私は誰、あなたは誰、となってしまいまし た。私にとって唯一人生で残念な事、あの御母さんと、もう少し早く出会ってい たら、もっと楽しかったのに、でした。そのくらい面白い人でした。

今年、義母は介護施設に入所しました。一年間、彼女を診て「私も、いつまで、自身の頭と足で人生楽しむことが出来るだろう」と、思うようになりました。女の人生は 88、です。でも、終焉まで味わえるわけではありません。自分にとって自分自身 を認識する、には限りがあるのです。

私は県下一の高校合格を目指し、力量以上 の受験勉強をしました。合格してしまってからは2度と勉強したくない、などと 思い、大学受験失敗、運転免許さえ挫折です。ことごとく、試験という試験は避 けて来ました。勉強は大嫌いになりました。ところが、ところが、です。急に、 学ばない人生と学べない自分に不安になり、これを続けることは、大損なので は、と思ったのです。そして、あっという間に、そんな偏向思想は、無かったこ とにして、33年ぶりに勉強です。

大好きなお笑い芸人さんが、彼の得意な美術 で、興味の持てそうな講座を開催しました。その美術講座に参加、美術検定の存 在を知りました。ちょうどの気分に、どうせなら、と、高みを目指し3級挑戦です。10月から1ヶ月半、肌身離さず参考書を携帯しました。電車もホームも、立ち勉強です。

わかったことは、聴くだけでは駄目です。目標があると、頭蓋骨の 中に沈殿してくれるのです。わかったことは、私も捨てたものじゃない。勉強することが出来るんだ、です。試験レベルまで出来たかは、12月末まで分かりませ ん。でも、毎日が楽しかったのです。この検定が、何が何して何になる、なんてどうでもいいことです。次は、3月、世界遺産検定3級です。その次は、江戸検定、のつもりです。

もう、子に、勉強しなさい、は言いません。「勉強するから、お母さんの邪魔しないで」です。でも、息切れしないよう、身の丈を知り、 生きていきます。

 

(編集室が改行を調整しています)

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