1回90分の授業は、前半が講義、後半は実習で構成され、講義と実習の両方が90分の中で学べるように構成されている。前半の講義では、著名なカウンセラーの本やカウンセリング事例、メンタルヘルスに関連する最近のニュースなどが紹介される。後半の実習で展開されるのが、冒頭にあげたような実習だ。
カウンセラーが忘れてはいけないことは……
15分ほどの実習を終えて、先生はカウンセラー役のSさん、観察者、最後にクライアント役のMさんに感想を尋ねた。
Sさん「クライアントの気持ちを聴こうとやってみたけど、これでいいのかどうかわからなくて…」
観察者「Sさんはクライアントの言葉を丁寧に返し、共感的に聴いていましたね」
「Sさんの質問によって、Mさんの体の不調からその原因となっている仕事や会社への不満、それに対するMさんの心の葛藤などが少しずつ引き出されていきました」
Mさん「照れ臭くて目は見られなかったけど、Sさんが穏やかに聴いてくれているのがわかりました。Sさんが受け止めてくれているのがわかり、話しやすかったです。質問されたことで整理しないとと思って、話すことができました」
野坂先生はそれを受けて、最後にこうまとめた。
「気持ちを受け止めて、それから質問をすることが大事なんです。Sさんはカウンセリングの早い時期に質問をしましたが、共感的に聴いていたから気にならなかったですね。睡眠障害があるクライアントに『いつ頃から?』という質問はとても大切です。忘れてはいけないのは、聴くコツはしゃべり過ぎないことなんです」
教室の中には、穏やかな野坂先生のキャラクターが作用するのだろうか、緊張が解きほぐされるようなゆったりした時間が流れていた。
〔野坂先生の講座案内〕対人関係に役立つスキルを学ぶ
〔受講者のココイチ〕:「共感と整理」
「カウンセラーが共感して聴いていたから、クライアントが気持ちの整理をしようとしていくのが見ていてわかった」(実習の観察者)
取材講座データ | ||
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認定資格「心のケアカウンセラー」をとろう!〈基礎編〉 | 文京学院大学 | 2017年前期 |
文・写真/まなナビ編集室