一度きりの人生、やりたいことをやろうと決めた

8月の一次審査通過作文/「学びと私」作文コンテスト

ペンネーム:西依光ヱ門さん(55歳)/千葉県/最近ハマっているもの:よさこい演舞とパスタ

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ペンネーム:西依光ヱ門さん(55歳)/千葉県/最近ハマっているもの:よさこい演舞とパスタ

『もっと人生を楽しめば良かった』『もっと、やりたい事をすれば良かった』、こういう思いを持って年を重ねる方が多いと聞きます。その思いを引き摺り、後悔を残して亡くなることは、とても不憫でならないと感じてしまいます。

小学生の頃、『将来何になりたい?』という質問のやり取りを、いつも腑に落ちず聞いていた私。『プロ野球選手』『パイロット』『医者』『警察官』『教師』と大半が答えるからです。何故、デパートの店員や車を作る人、建物を建てる人がいるのに答えにないんだろう?誰が成るんだろう?と素朴な疑問でした。

当時は、義務教育を終えると就職を意識した進路が求められ、先々で篩(ふるい)に掛けられ選択肢をなくす現実がある等、想像もつきませんでした。 だからでしょうか、私は呑気者に見られていたようです。近所から『君は全く勉強しないみたいね』と陰口を叩かれていました。何故なら、小学高学年になっても、夏休みに友達を遊びに誘うからでした。

友達の親に『息子はこれから塾なの』と断られ、挙句の果てに『偉くなるために良い大学に入って、良い会社に入って、沢山お金貰うために、今勉強しなきゃだめよ。』と言われる始末。その言葉は、心に恐れとなして突き刺さりました。その度に清らかな気持ちと期待で描いた夢が、脆くも崩れていくようで、悲しい感覚に陥ったことを覚えています。

親の意見や世間の風潮は夢を二の次にします。無難に大学から就職活動のレールに乗り、サラリーマンに落ち着いた人が多いことを後に知りました。残念ながら私もその内のひとり。幼い頃の夢の欠片もなく、高校時代は無我夢中に大学進学を目指しました。

当時はそのプロセスこそ、正しくて立派だと満足し、腑に落ちなかった疑問の答えに苦笑いをしました。 実は小学生の卒業アルバムに私は、『歌手になりたい』と書き残しています。が実際は建設会社に就職し、営業マンでした。言葉を発し伝える事は同じでも、メロディは無く感情表現も要りません。現実のしがらみの狭間をもがく息苦しい毎日でした。

運にも恵まれ役員という地位に就けたものの・・振り返って、全てを客観的に見た時にふと感じました。 『俺は今の自分を守る為に生きてきたんだろうか?』『俺のやりたい事ってこれだったのか?』と。暫く自問自答が続きました。すると、考える喜びと共に、気付かせてくれたタイミングのことがやけに気になりました。密かに守ってきた種火で恐る恐る火を熾こしてみたら、その灯火は神々しく輝いているのです。五十四歳の時でした。自分の夢を叶える歩みを決意し、役員の定年を早期繰り上げてリタイアしました。

周囲に『お前はバカか!』と散々言われましたが、やりたい事もやらずに人生の終りを迎えることこそ勿体ない・損であると確信したのです。 脱サラを機に手探りでカラオケ教室と歌手養成の芸能事務所を設立。専属の講師を雇い、少しずつですが、周囲から評価を頂けるまでに成長しております。

医学的に証明されたボケ防止効果の影響もあり、習いに来られる多くは私よりも人生の先輩方。皆様が活き活きと歌っておられます。昼間練習をし、夜はスナック等で仲間達に披露する。生き甲斐と楽しみだそうです。そのような姿に刺激を受けました。やりたいことを始めるのに、年齢制限がないことを肌で感じます。幼い頃に抱いた『歌』と関わる人生の為に、私も生徒の一人として、日々真剣に学んでいます。楽しく充実した喜びの時を得ました。

一度きりの人生。遠回りしたかもしれないけれど、歩むべき道の選択に間違いはなかったと自負しています。今この一瞬一刻に感謝。そして、この先の学びにワクワク・ドキドキ・ハラハラしています。

 

(作文のタイトル、ルビ、改行は編集室が付けました)

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