人の性質でマウンティングの傾向がわかる
どんな人がどういうマウンティングをするのか。杉山先生は、5つのパターンに分けて説明する。(前の記事「イライラ、陰口、マウンティング。女性部下の心理を学ぶ」「タワマン階層や弁当 この世はマウンティングだらけ」「ウザ過ぎ! マウンテイングのターゲットになったらどう解決する?」)
(1)自己愛が強い人→尊敬希求型マウンティング
「自分だけがよければいいという、悪い意味でプライドが高い人。心理学では自己愛といいますが、こういう自己愛が強い人は、“○○さんすごい”と思われていないと許せない。誰かのいい話に刺激されると自分はもっと、とアピールしてくる、尊敬希求型のマウンティングをします」(杉山先生、以下「」内)
(2)自信がない人→スネ夫型マウンティング
「自分に自信がなく、自分が優位に立てるときだけマウンティングすることを、私は『ドラえもん』のスネ夫くんからとって、スネ夫型マウンティングと呼んでいます。スネ夫くんはジャイアンに対してはペコペコしているのに、のび太に対しては『のび太のくせに』と頻繁にマウンティングしていますよね。その場にいない人の陰口をたたくのもこのスネ夫型の人。安全に、その人より私のほうが優位ということをアピールできますから。スネ夫型は情報量の多さを誇示することが多いですね。こんなことも知ってる、あんなことも知ってるというのをアピールする。そんなにあからさまじゃないんですが、話し終わるとなんとなくいやーな感じが相手に残る、そんなマウンティングです」
(3)周囲の評価を気にする人→劇場型マウンティング
「他人からの評価を気にして、周りに自分が役立つことを誇示するタイプを劇場型マウンティングと私は呼んでいます。たとえば飲み会でお酌をしたり、お皿などを片付けたりして、私はみんなより役立ってるでしょ? とアピールする。たしかに実際に動いてくれるので役立ちますから、過剰でなければいい人です。でも、そこで動かない人に対する見下すような態度が入ると、マウンティングになっているということですね」
(4)上昇志向が強い人→火山型マウンティング
「上昇志向が強く、自分が話題の中心にいないと気が済まない人は、火山型マウンティングをします。普段から、自分はもっと上のポジションにいるはずだという不満がマグマのように溜まっているので、自分が思ったより尊重されていないと思った瞬間に、火山が噴火するように突然話題を変えて自分の得意分野に話をもっていったり、唐突にアドバイスをしたり、急に上から目線のアドバイスをしたりします」
(5)裕福な人→優越感の鎧(よろい)型マウンティング
「裕福な人に多く見られるマウンティングなんですが、日頃から密かに優越感にずっと浸っているんですね。優越感は心の余裕をもたらすのですべてが悪いものではないのですが、こういう優越感に浸りながら、金持ちアピールのチャンスがきたら遠慮なくマウンティングするというわけです」
マウンティングされるのは、羨ましがられる証拠!?
では、どんなタイプがマウンティングされやすいのか。
「無意識に人に劣等感を与えてしまう人。たとえば容姿端麗の人。高学歴もそうですね。集団の中で比較的若いとか、服のセンスがいいとかも、周りが勝手に劣等感を感じてマウンティングの対象になりやすいです」
裏を返せば、マウンティングされるのは羨ましがられている証拠ともいえるだろう。しかしそれで済まないのが女性の複雑な心理。イラっとする相手なら誰でもマウンティングの対象になりうるというのだ。
「媚びるのが下手な人もマウンティングの対象になるんですね。媚びるのはいいか悪いかは議論が分かれると思いますが、媚びてくれるとそれだけで優越感が持てるので、媚びるのが下手だとそれだけでイラっとされやすい。
愛嬌を出すのが苦手な人もそうです。キャピキャピできない女性っていますよね。キャピキャピしないだけなんですが、周りからはどうせバカにしてるんでしょと思われ、反感を買ってしまういます」
また、微妙にプライドが高い人や、空気が読めない人も、周囲のイライラを誘い、マウンティングの対象になるという。さらに、“この人ならマウンティングしても反撃してこないだろう……”と思われるような、おとなしくて人のよい人も、スネ夫型や火山型のマウンティングのターゲットにされることがあるというから、ここまでくると、いちゃもんをつけているとしか思えない。
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◆取材講座:メンタルヘルス・マネジメント講座「大人の人間関係論」vol.4女性同士の人間関係(神奈川大学みなとみらいエクステンションセンター
文/まなナビ編集室 写真/まなナビ編集室、(c)ChenPG / fotolia