パチンコ、マージャン、認知症予防にはどっち?

【連載】認知症、ならないために:ライフスタイル編 その2

Q マージャン、パチンコ、認知症予防になるのはどっち?

a:マージャン
b:パチンコ
c:どちらも予防にならない

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マージャン、パチンコ、認知症予防になるのはどっち?

Q マージャン、パチンコ、認知症予防になるのはどっち?

a:マージャン
b:パチンコ
c:どちらも予防にならない

現在、多くの介護施設のレクリーションに、マージャンや囲碁、将棋などのゲームが取り入れられています。答えはaです。

なぜマージャンが認知症予防にいいのでしょうか。いちばんは対人ゲームであることです。ひとりでするゲームと違い、相手がいるということは、相手の手を読み、それに対応する手を考え、さまざまな駆け引きも必要です。これらが頭を使うトレーニングになるのです。

また、マージャンには4人のメンバーが必要です。楽しくゲームを続けるためには、自分だけ楽しければいいのではなく、他のメンバーを思いやる気持ちも必要でしょう。そうした配慮が脳を活性化させることになります。

それに対してパチンコやスロットは、ひとりでできるゲームです。パチンコ台の前に座って、人と話すこともなく黙々と台を見つめます。「脳を刺激する」「夢中になれる」というよさもありますが、ひたすら機械的な操作を続けるだけで、相手の心の内を読むといった知的な要素はあまりありません。

マージャンや囲碁、将棋、トランプなど、数人で行う対人型ゲームは、いくつになっても楽しいものです。やはり、勝負や競争というものは人を活気づける作用が大きいのでしょう。最近はスマホでゲームする人が増え、マージャンもスマホでできるようになりました。しかしスマホ相手ですと、ひとりで遊んでいるのと同じですから、頭の活性化という点ではリアルなマージャンには及ばない。

ひとつ注意していただきたいのは、いくら頭を活性化するからといって、マージャンをしているだけではダメ。認知症予防のためには運動もしてください。マージャンや囲碁、将棋は熱中すると数時間にわたる大勝負になります。座っている時間も長くなり、運動不足になること受け合いです。マージャンで楽しく脳を活性化させた後は、外に出てウォーキングなど軽い運動を行いましょう。

(ひとくちメモ) ◎認知症の種類とは?
認知症とはさまざまな病気の総称です。もっとも代表的な認知症が「アルツハイマー型認知症」で、次いで「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」なども多い型です。

〔あわせて読みたい〕
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■監修■伊古田俊夫
いこた・としお 1949年生まれ。1975年北海道大学医学部卒。勤医協中央病院名誉院長。脳科学の立場から認知症を研究する。日本脳神経外科学会専門医、認知症サポート医として認知症予防、認知症の地域支援体制づくりに取り組んでいる。著書に『40歳からの「認知症予防」入門』(講談社)など。

[伊古田先生からのメッセージ]→「認知症予防とは、認知症を『先送り』することです」
認知症を「予防する」ということは、「一生、認知症にならない」ということではありません。認知症の原因は、今もわかっていないからです。確かなことは脳の老化だということ。ですから認知症を100%予防することはできませんが、発症する年を「遅らせる」ことはできます。いわば認知症の先送り。これが予防策をみなさんに広く知ってもらいたいと願う理由です。

 

文/佐藤恵菜 イラスト/みやしたゆみ

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