グレーは絶対に回避する
(1)書き出しは文章の玄関。読む人が入りやすいように、書き出しに工夫する。
(2)感想ではなく「道理」を書く。それが論を立てるということ。
(3)正しい知識に基づいて書く。調べて書く癖を身につける。
(4)書くテーマについて自分の意見の「是・非」(イエス・ノー)を鮮明する。グレーは絶対に回避する。
(5)内容を終始一貫させて、きれいに終わらせよう。
とくに「是非を鮮明に」というのは目からウロコの視点だった。高村先生によれば、ああでもないこうでもないという文章は読まれないという。「是」で押すにしても「非」で押すにしても、そこには熱意がにじみ出てくる。ただし思い入れだけでなく、根拠はきちんと調べておくことが大切だという。
書くときに大切な4つの心構え
(1)読み手の立場になって考えよう。
(2)使い古し(常套)の言葉を避ける。
(3)道徳(きれいごと)ばかり書かない。「~べし」ばかりだと飽きる。
(4)フレッシュさとか、新しい角度といった、新鮮さを大切に。くどくどわかりきったことばかり書かない。
たとえば、病気で入院している人に手紙を書くとき、ついつい紋切り型になりがちだ。しかし、病人はそういう手紙には飽きていて、気晴らしを求めている。そういうときには、「あなたの好きなとりたてのブドウを今度一緒に食べに行きましょう」「ナイター・阪神タイガースを一緒に応援に行きましょう」といった、パーソナルな思いを書くとよいと、高村先生はアドバイスする。
それでも書けないときは「です・ます」で
高村先生は言う。
「新聞記者時代に、新人記者から、記事が書けない、どうしたらいいでしょう、という相談をたくさん受けてきました。そういうときは、どういう話なんだ? とこちらから聞くのです。すると、これこれこういう話なんです、と答える。そこで、それをそのまま書きなさい、とアドバイスしてきました。人が文章を書くためには、もう一人の自分が必要なのです。どうしても書けないときは、最初、『です・ます』で書き出してみると案外書きやすいものですよ」
そして、「名文を目指さないことが何よりたいせつです。書き慣れていない人ほど、名文を書こうとして書けなくなります。それを避けるための一つの手が、締め切りを設けること。書くためには「諦め」も大事ですよ」と締めくくった。
〔あわせて読みたい〕
古典って何のために読む?「日本を楽しむためですよ!」
「鳴かぬなら…」「鼠小僧」も、江戸最高のモノカキの人生
取材講座:「短文の魅力・書き方」武蔵野大学社会連携センター三鷹サテライト教室
文・写真/まなナビ編集室