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11月の一次審査通過作文/「学びと私」作文コンテスト

みちゃこさん(33歳)/埼玉県/最近ハマっていること:語学

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みちゃこさん(33歳)/埼玉県/最近ハマっていること:語学

ママになって人生の第二幕。これまでは自分本位の生活。しかし今後は息子のために、そう決意をしていた。だが、そんな決意はある出来事をきっかけに脆くも崩れることになる。ある日息子を連れて英語のリトミック教室に行った。もちろん無料だからである。軽快なリズムに手足を思いきり動かす息子。その楽しそうな表情を見ているだけで私の世界はお花畑だった。
私自身英語は苦労した記憶しかない。特に苦手だったのが単語。そもそも一つの単語に複数の意味が存在していることに疑問があった。単語を覚えるために当時はノートが真っ黒になるほど書いた。何回も何回も。しかし次の日には何ひとつ頭に残っておらずショックを受けたものだった。今考えてみるとあれは手の運動をしたに過ぎなかった。中学時代は教科書を丸ごと暗記してしまえば、それなりの結果が出た。しかし高校ではそうはいかなかった。覚える単語の数は一気に増え、これまでと同じ方法が通用しなくなった。逆に年子の妹は英語が大好きだった。好きこそ物の上手なれという言葉通り、好きだから自然と頭に入っていったのだろう。
もちろん私だって努力はした。単語の替え歌を作ったり、時には色とりどりペンで目立たせて単語カードを持ち歩いたりもした。それでも語学の神様は私に降りてきてくれなかった。これから英語を学ぶ息子には同じ思いをさせたくない。それもあって早期の英語教育には少し興味があった。レッスンが終わると先生から保護者向けのあいさつがあった。
「単語が嫌いという方がいますよね。」
先生がこう仰ると私は思わず赤面した。この先生は私の心の中まで見えているのかと。そして続けてこう言った。
「giftという単語がありますね。あれは贈り物と才能という2つの意味があるんです。大事な人からもらった贈り物と神様からもらった贈り物、すなはちこれが才能なんですね。」
私は目からウロコだった。バラバラになっていた多義語の世界が私の中でひとつになった。すごい。そうやって考えたら英語は難しくない。そう確信した。そして一念発起、単語帳を買いに行った。もちろん英語の世界観が詳しく書かれているものを選んだ。今までは薄くて見やすそうな本ばかり選んでいたがこの日は違った。しっかり語源の解説が書かれていて、英語の歴史そのものがわかる本を丁寧に探した。
こうして私は育児の合間を見つけて語学に励むようになった。一度は息子に人生を捧げようと決めた私。それにも関わらず、語学もやりたいという欲張りなこの性格は、ある意味神様からもらったギフトなのかもしれない。

(編集室が文章に改行を入れています)

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