「軽度認知障害」に当てはまる症状は次のどれでしょう?

【連載】認知症、ならないために:早期発見編 その4

Q 「軽度認知障害」に当てはまる症状は次のどれでしょう?

a もの忘れが多く、本人もそれを自覚している
b もの忘れが多く、忘れたことを指摘されると怒る
c もの忘れはしないが、気分の起伏が激しくなる

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Q 「軽度認知障害」に当てはまる症状は次のどれでしょう?

a もの忘れが多く、本人もそれを自覚している
b もの忘れが多く、忘れたことを指摘されると怒る
c もの忘れはしないが、気分の起伏が激しくなる

正常な脳と認知症の脳。その境界線はどこにあるのでしょう?

残念ながら目で見て確認できるものではなく、その境界域ともいえるグレーゾーンを「軽度認知障害」と呼びます。「ふつうに生活できているものの、もの忘れ症状があり、周囲の人たちもそれに気づいている人」が該当します。認知症の前段階といえる状態です。

正確には、次の4つの症状を示す状態です。

①もの忘れがあり本人も自覚している。
②周囲の人から「もの忘れがひどい」などの指摘がある
③記憶検査(もの忘れテスト)などで記憶障害が認められる
④記憶以外の脳機能(判断力や、今日の日付や自分が今いる場所がわかる認識力、会話能力)は正常で、日常生活はひとりでできる。仕事上は多少の支障が出ることがある

軽度認知障害はもの忘れとそれに伴う問題はあるものの、その他には支障が見られません。今日会った人の名前を忘れることはあっても、本人にも「最近、もの忘れが多い」という自覚があるため、大きなトラブルもまだあまり見られません。答えはaです。

早期発見4

しかし、軽度認知障害と診断された人のうち約半数は5年以内に認知症へと症状が進んでしまいます。ですから、軽度認知障害が疑われた時点で、病院で診断を受けることが重要です。

将来、認知症になるかもしれない、という診断はつらいものだと思います。一般に、認知症は治らないといわれていますが、原因によっては治るものもあります。甲状腺機能の低下、ビタミンD不足が原因の認知症、特発性正常圧水頭症によって併発する認知症は治る可能性があります。

また、早期発見することで初期段階から対策を打つことができます。投薬により進行を遅らせることができるかもしれません。「軽度認知障害」のサインを見逃さないでください。

(ひとくちメモ)◎原因のわかる認知症
アルツハイマー型認知症の原因は特定できませんが、原因がわかる認知症もあります。「血管性認知症」は脳梗塞や脳出血が原因です。「外傷性認知症」は転落や交通事故などで脳に受けた大きな損傷が原因になります。「アルコール性認知症」はその名のとおり、長期間にわたるアルコールの多飲が原因です。

(「認知症ならないために」は毎週日曜16:00更新予定)

〔あわせて読みたい〕

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■監修■伊古田俊夫
いこた・としお 1949年生まれ。1975年北海道大学医学部卒。勤医協中央病院名誉院長。脳科学の立場から認知症を研究する。日本脳神経外科学会専門医、認知症サポート医として認知症予防、認知症の地域支援体制づくりに取り組んでいる。著書に『40歳からの「認知症予防」入門』(講談社)など。

[伊古田先生からのメッセージ]→「認知症予防とは、認知症を『先送り』することです」
認知症を「予防する」ということは、「一生、認知症にならない」ということではありません。認知症の原因は、今もわかっていないからです。確かなことは脳の老化だということ。ですから認知症を100%予防することはできませんが、発症する年を「遅らせる」ことはできます。いわば認知症の先送り。これが予防策をみなさんに広く知ってもらいたいと願う理由です。

文/佐藤恵菜 イラスト/みやしたゆみ

-健康・スポーツ, 教養その他
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