「学ぶことに終わりはない」大学で学ぶ80代女性の言葉

オープンカレッジ修了式@國學院大學

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家族を介護しながら、仕事を続けながら

しかし、学び続けるというのは、実際にはそんなに楽なことではないのです、と、このオープンカレッジの運営に携わり、今年退職した元事務局のIさんは語る。

「32単位を取るには何年もかかります。そして何年も学び続けるというのは、本当に大変なことなんです。皆さん、けっして時間的余裕や経済的余裕がある方ばかりではありません。なかにはご家族の介護でなかなか時間が取れないけれども私は学び続けたい、それが生きがいなんです、とおっしゃって、時には中断しながらも、がんばって通ってらした方がいました。そういう方が修了証を受け取られるときには、こちらも感動して嬉し涙が出てきます。そうしたがんばりに報いたいという気持ちもあって、きちんとした修了式をしたいと思ってきました」

今回も、仕事しながら通い続けて32単位を取った受講生がいた。

「仕事柄、歴史や文学に興味があったんですが、意を決して3年前から『万葉集』と『源氏物語』を勉強し始めたらはまってしまいましたね」(40代女性)

「書道の師範代としての資格も持っていて仕事に生かしていますが、このままやっていくには何かが不足してくると感じたんです。通い続けるのは大変でしたが、書道の歴史や古典文学を勉強することで、数十年間続けてきた書道により深みが出てきたような気がします」(50代女性)

80代女性たちが、「一生勉強していきたい」と語る理由は

学び始めるのに年齢は関係ないとはいうが、修了式には80代の人も多い。

「もう30年以上、こちらに来ているんですよ。華道などの日本の伝統文化をずっと学んでいるんですが、同じ講座を何度受講しても、けっして飽きることがないんです。それほど奥が深い。きっと死ぬまで勉強し続けますね」(80代女性)

「50代から30年以上、いろんな講座を受講してきました。ここだけじゃなくて、いろいろな大学の講座に通いました。それこそお習字から法律関係まで、自分でもあきれ返るくらい、さまざまな講座に行きました。なぜかって? 学ぶことには終わりがないんですよ。ひとつ学ぶと、知ってることが増えますでしょ。そうすると、今まで知っていたことと、どこかでつながってくるんです。ああ、こういうことだったのかって。新聞を読んでも、前よりずっと関心を持てるようになりました。そうするとね、生きていることが楽しくなるんですよ。だからね、私はここに生きるために来ているようなものなんです。学びは人生そのもの。一生勉強ですね」(80代・女性)

こうした大先輩にパワーをもらう人も多い。

「ずっと仕事をしていたんですが、ボケ防止で退職直前からここで受講しています。毎月3~4回授業に通うと、生活にリズムができるし、お友達もできますし。私の取っているクラスには80代の女性の方がいらして、『まだまだ勉強するわよ!』とおっしゃっていて本当にすごい。そういう姿を見ると励みになります」

こう語るのは60代女性。今期から3講座を受講するとのことだった。

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〔大学のココイチ〕修了式の記念品には、日本古来の絵巻物を使った一筆書きやはがき、しおりや図書カードなどが渡される。和テイストたっぷりの記念品の数々は、まさに國學院ならでは。

文・写真/藤村はるな

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