誰にでもある物忘れだけど、認知症が疑われるのはどういう物忘れ?

物忘れから気づこう、認知症

Q 次のうち、「認知症」が疑われるのはどれでしょう?

a 「昨日の晩ごはん、何だったっけ?」
b 「今日の昼、何食べたっけ?」
c 「今日、昼ご飯、食べたっけ?」

「認知症」が疑われるのはどれでしょう

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Q 次のうち、「認知症」が疑われるのはどれでしょう?

a 「昨日の晩ごはん、何だったっけ?」
b 「今日の昼、何食べたっけ?」
c 「今日、昼ご飯、食べたっけ?」

「認知症」が疑われるのはどれでしょう

認知症は、ある日ハッキリとわかる症状が出るわけではありません。気がつくと「病的なもの忘れ」が頻繁に起こる、それも本人ではなく、家族や職場の人などまわりの人が気づく--そんな場合がほとんどです。残念ながら、その時点で、すでに認知症は始まっています。気がついてからでは遅いのが認知症。だからこそ早期発見が大切なのです。

一方で、人はだれでも年齢とともに記憶力が少しずつ衰えていきます。「加齢によるもの忘れ」は、いってみれば老化現象のひとつですので、それほど心配することはありません。

では、認知症が疑われる「病的なもの忘れ」と「加齢によるもの忘れ」はどう違うのでしょうか?

「病的なもの忘れ」の特徴は新しいことを覚えられないことです。日々の出来事や体験したことを覚えていない。記憶があいまい。体験したことをすっぽり忘れてしまうのです。

上のQでみると、aとbは「加齢によるもの忘れ」の範囲内といえます。cは昼ご飯を食べたのに食べたという体験をすっぽり忘れている点で「病的なもの忘れ」です。

「病的なもの忘れ」が疑われる言動としては、ほかに「同じものを何回も買ってくる」「同じことを何度も聞く」「いつも探し物をしている」などが典型的です。

「同じものを何回も買ってくる」ことは、たとえば冷蔵庫の中に同じものがいくつも入っている、といったことから発覚します。「同じことを何度も聞く」のは、たとえば遊びに来た孫に「何年生になった?」と何度も聞いたりすることです。財布や免許証を探していることが増えてきたら注意が必要です。

「加齢によるもの忘れ」と「病的なもの忘れ」の違いをまとめると、このようになります。

  (加齢)   ⇒  (病的)
(1)名前などを思い出せない ⇒ 日々の体験や出来事を「覚えていられない」
(2)もの忘れを自覚している ⇒ もの忘れの自覚に乏しい
(3)体験の一部を忘れる(細部を忘れる) ⇒ 体験の全体を忘れる

(ひとくちメモ)◎認知症予備軍の軽度認知障害とは?
「ふつうに生活できているものの、もの忘れの症状があり、まわりの人たちもそれが気になっている人」が該当します。将来、認知症に発展する可能性があり、いわゆる“認知症予備群”と言われる人たちとほぼ同義です。

 

■監修■伊古田俊夫
いこた・としお 1949年生まれ。1975年北海道大学医学部卒。勤医協中央病院名誉院長。脳科学の立場から認知症を研究する。日本脳神経外科学会専門医、認知症サポート医として認知症予防、認知症の地域支援体制づくりに取り組んでいる。著書に『40歳からの「認知症予防」入門』(講談社)など。

[伊古田先生からのメッセージ]→「認知症予防とは、認知症を『先送り』することです」
認知症を「予防する」ということは、「一生、認知症にならない」ということではありません。認知症の原因は、今もわかっていないからです。確かなことは脳の老化だということ。ですから認知症を100%予防することはできませんが、発症する年を「遅らせる」ことはできます。いわば認知症の先送り。これが予防策をみなさんに広く知ってもらいたいと願う理由です。

文/佐藤恵菜 イラスト/みやしたゆみ

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