──そのために登場したのがキュレーション・サイトだったはずです。
キュレーションという言葉は、博物館などの管理者をさす「Curator(キュレーター)」から来ています。展示品の取集や展覧会の企画・運営・管理をする人をさします。そこから、インターネット上の情報を収集してまとめ直し、新しい価値を生み出すことを、キュレーションと呼ぶようになりました。
つまり、本来のキュレーションは、情報の目利きの人が、いい情報とそうでないのを選別して、その質の高い情報を選別することです。この【まなナビ】も、人間にとっていちばん根本的な営みである「学び」に関する情報を、一定のフィルターを通すことによって、良質な情報を選別して伝えるサイトとして成長してもらいたい。また、もうひとつ、大切なポイントを忘れないでもらいたい。
──学び情報サイトとして、大事なポイントとは?
人は、ひとりひとり興味や関心が違うのです。けっして皆が皆、メジャーなものに興味があるわけではありません。マニアックだったり、地味だけど面白い学びは、世の中にいっぱい存在するし、そこに惹かれる人もいる。でもそこにはなかなか光が当たらない。
しかし、この【まなナビ】で検索すれば、狭いかもしれないけど、びっくりするほど深くて面白いことを学ぶチャンスと出会うことができる。僕はそれは、非常に有意義なことだと思います。
仏像の足の裏について学ぶような「はぁ?」という講座を
ネット販売には、ロングテールというビジネスモデルがあります。販売機会の少ない商品をたくさん取りそろえ、全体としての売上を上げる手法です。Amazonでは、年間300冊しか売れないような本も、年間10万部以上売れる本も、同じように検索できるし、買うことができる。
公開講座も同じ。たとえば仏像の足の裏について学ぶとか、多くの人には「はぁ?」という内容の講座でも、こうしたサイト上に情報が存在していれば、絶対に出会いがある。
──今回、思いもかけない講座に出会うきっかけになるかなと、ジャンル別のタブも10個設けました。
ジャンルタブをクリックしてタイトルを見ているだけでもワクワクしてきますね。世の中には、自分の知らないことがこんなにあるんだとわかる。知らないことだらけなんですよ、世の中は。その「知らないこと」がデータベースとなっていることが、とても楽しい。
僕はこの【まなナビ】が、本当にマニアックな、狭いかもしれないけれど深い学びの情報──今まで影に隠れていた情報に、光を当てる力を持っていると思います。
2017年3月6日取材
取材/和久井香菜子 写真/本間正人先生