『古事記』の神話を読む
渋谷キャンパス
谷口雅博
講義詳細
本年は、葦原中国平定の神話を読みます。大国主神による国作りが完了するタイミングを見計らったように、天上界=高天原の司令神・天照大御神は、御子である天忍穂耳命に葦原中国への降臨・統治を命じます。しかし、天忍穂耳命は天浮橋で地上の様子を窺ったところ、たいそう騒がしいので、高天原に戻ってその様子を天照大御神に伝えました。それから後、葦原中国平定のための神々の派遣が始まります。大国主神に寝返ってしまった最初の派遣神・天菩比神、自らが地上の支配者になろうとして墓穴を掘った二番目の派遣神・天若日子、圧倒的な力で相手をねじ伏せ、平定を成し遂げた三番目の派遣神・建御雷神、そしてそれを迎える大国主神とその子神の姿が、それぞれ個性豊かに描かれています。
地上支配の正統性を主張する天神側と、国譲りを了承しつつも自らの安住の地を求める大国主神側との様々なやりとりに込められた意味・意図を考えながら読んで行きたいと思います。また、本年の対象箇所は、出雲を舞台とする神話の最後になりますので、『古事記』神話における出雲の位置付けについても考えてみたいと思います。
専門分野:日本上代文学(古事記・日本書紀・万葉集・風土記)
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