酒と居酒屋からみた日本の戦後
早稲田大学エクステンションセンター
中野校
橋本健二(早稲田大学教授)
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概要
「歌は世につれ世は歌につれ」などというが、「酒は世につれ世は酒につれ」というのも、同じくらいに真実である。人々がどんな酒を飲むか、どんなとき、どんな場所で酒を飲むか。そして人々が集まる居酒屋の姿。これらは時代によって変わり、その時代の社会のあり方を、色濃く反映する。とくに変転の激しかった戦後日本では、酒の変化も大きかった。戦中から終戦直後は、酒そのものがたいへんな貴重品だった。ごくわずかな配給では物足りない酒呑みたちは、ヤミ市で酒にありつき、疲れを癒やし、安らぎを得た。戦後復興とともに酒消費は飛躍的に伸び、さらに高度成長期になるとビールと日本酒を中心とする飲酒習慣が階級を問わず広く定着した。1970年前後にはチェーン居酒屋が登場し、居酒屋業界には大きな転換が起こった。さらに低成長期になると、酎ハイ、ワイン、地酒と、人々の飲む酒が多様化した。しかし1980年代以降になると、経済格差の拡大とともに、飲酒習慣が所得階層によって分化し、人々は多様な酒を楽しむことのできる豊かな人々、発泡酒や焼酎を中心に安価な酒を好んで飲む中程度の人々、そして貧しさゆえに酒を飲むことも難しい人々へと、分け隔てられるようになった。つまり、「酒格差社会」の出現である。こうした戦後日本社会と酒文化の歩みを振り返りながら、今後の望ましい社会のあり方と酒文化のあり方について考えていく。
講師概要
橋本健二
早稲田大学教授
1959年生まれ。東京大学卒。戦後日本の格差と不平等についての研究が本職だが、趣味が高じて居酒屋を第二の研究テーマとするようになり、居酒屋の観察を通じて現代社会を考える「居酒屋考現学」を提唱している。著書に『「格差」の戦後史』(河出書房新社)、『居酒屋の戦後史』(祥伝社)など。
住所
東京都中野区中野4-22-3 早稲田大学中野国際コミュニティプラザ1階
アクセス
JR中央・総武線・東京メトロ東西線「中野駅」下車北口より徒歩10分/関東バス「東京警察病院北門前」より徒歩1分 【中01】【大02】【宿04】【宿05】【宿07】【阿45】系統/
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