企業の社会的責任とCSR
上智大学公開学習センター
四谷キャンパス
小林順治上智大学名誉教授
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概要
近来の日本では、明治時代以降、海外の文化・文明の流入に伴って用いられてきたカタカナ表記に加えて、アルファベット表記の略称が急速に増えてきたように思います。CSRもそうしたもののひとつです。CSRは、Corporate Social Responsibility の略称ですが、日本では、CSRが流行する前に、Corporate Social Responsibility の翻訳語としては「企業の社会的責任」が用いられていました。 この「企業の社会的責任」は、一般用語として日本社会に定着すると同時に、社会科学の分野で専門用語として用いられてきました。したがって、Corporate Social Responsibility と「企業の社会的責任」と CSR は、同一の概念内容を表すはずのものです。 しかし、現在の日本で CSR という用語を用いて論じられている内容は、「企業の社会的責任」(Corporate Social Responsibility) の本質からは完全に逸脱していると言わざるをえません。Corporate Social Responsibility は、アメリカ合衆国における資本主義経済の急速な発展という歴史的背景の中で発生してきた深刻な「企業と社会」問題の解決策として論じられてきたものです。にもかかわらず、とくにCSRが日本社会で流行語となってからは、その内容が矮小化され、CSR が Corporate Social Responsibility の略称であるにもかかわらず、両者はまったくの別物になってしまっています。 「企業の社会的責任」(Corporate Social Responsibility) が「自由の国」アメリカにおいて最初に論じられたのは、単なる偶然ではありません。アメリカ企業は、産業化以降、急速に大規模化し、巨大なものとなりました。その結果、製造業をはじめとする巨大な法人企業が誕生し、社会との間にさまざまな軋轢を生み出しました。この「企業と社会」問題を、自由を国是とするアメリカ合衆国において、自由企業体制を堅持しつつ解決を図ることは可能か。その解答を与えようとしているのが、「企業の社会的責任」論です。 現在の資本主義は行き詰っており、限界に直面しているという見方があります。その最大の原因は、巨大法人企業のあり方にあるのではないか、という問題提起があります。 この講座では、現代の資本主義社会における自由企業のあり方を考えるために、「企業の社会的責任」をCSRとの対比で取り上げます。
講師概要
上智大学名誉教授・専攻分野/経営組織論 Eメール/junji-k@sophia.ac.jp
アクセス
JR中央線・東京メトロ丸ノ内線・南北線「四ッ谷」駅麹町口・赤坂口から徒歩5分
日時の変更もありますので、開講情報は必ずこのページの大学HPからご確認ください。
この情報は大学の許可をとっています。