フランスの家族―現代における結婚、出産、離婚
四谷キャンパス
【コーディネーター・講師】牧陽子 【講師】ミュリエル・ジョリヴェ
講義詳細
少子高齢化の問題と関連させて、フランスの家族構造や価値観を日本と比較します。具体的には次のようなテーマを取り上げます。
1) 結婚
日本とフランスの間の結婚観の違いを紹介します。恋愛結婚は一般化しましたが、フランスでも配偶者選択における経済資本と文化資本の重要性は変わらず、社会的に近い相手を選ぶ傾向があります。 作家のパスカル・ブルックナーが恋愛結婚の一般化はカップルの不安定化をもたらしたと指摘していますが、不安定化は「幸せでいることの義務」のためでもあります。
2) 出産
フランスでは合計特殊出生率が、1994年の1.68から、2010年には2.02へと上昇しています。この出生率の上昇と婚外子の誕生をどうとらえればよいか考えます。58%という高い婚外子率(2016年)のせいなのか、それとも寛大な家族政策によるものなのでしょうか。
3) 家族の役割
モザイク、再構成、ひとり親、同性愛者の親など、パパ・ママ・子どもという伝統的家族は姿を変えました。それでも家族は、18-29歳のフランス人の85%が第一に大事だと考える価値あるものです。精神的にも物理的にも家族間の助け合いは健在です。
4) 離婚
フランスでは1975年に協議離婚が可能になり、2017年にさらに手続きが簡素化されました。離婚率は2005年がピークで53%に上り、2016年も44%です。経済危機の影響や、アメリカでLiving together apartと呼ばれる新しいカップルの形態、離婚に踏み出せないカップルなど、離婚をめぐる様相について考えます。
ミュリエル・ジョリヴェ:上智大学名誉教授
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