高田さんの在籍するMBA特別プログラム(以下、M特)は、中小企業診断士の1次試験をパスしていることが入学条件となる(有効期限は2年)。試験は、入学後に何を研究したいかという小論文の提出と面接のみ。
「M特は、1年でMBAと中小企業診断士を取るという、なかなかがっつりしたコース。講義は昼間なので、会社で働きながら通うことはできません。企業派遣や休職してくる人はわずかで、ほとんどのかたが会社をやめてきていましたね。
同じ科には、外国人向け1.5年制のコースと2年制の夜間コースもあります。こちらは2年かけてMBAの取得を目指すコースですね」
高田さんのクラスには38名が在籍し、うち女性は8人。働き盛りの40~50代を中心に、20代から65才まで幅広い年齢層が集う。
実習を1か月。報告書はA4でびっしり10~15枚
「授業も座学というより、実践がメインですね。最初に先生から理論的な背景の説明があって、あとは生徒だけでなんとか結果を出していきます」
「私が大学にいたころは、先生が教える“ティーチング”という授業法がベースでした。先生の講義を大講堂で“へ~っ、ほ~っ”て聞くだけの(笑い)。今は大学もずいぶん変わってきているようですけど、自分で進めていくのが大学と大学院の大きな差だと思います」
『経営診断実習』は実際の会社を扱う。
「協力してくださる企業の『経営診断実習』を1か月ほどかけて行うんです。それが5社、つまり5回ありました。具体的には、7~8人でグループを組んで、事前調査を行ったうえで社長や営業職、技術職のかたにインタビューをします。同時に決算書の分析もしつつ、市場調査をし、企業の課題を洗い出す。最後に、こうしたらもっとよりよくなるのではというご提案をし、実習報告書を提出する」
「報告書は70~120枚くらいですから、ひとりあたりA4でびっしり10~15枚程度書くことになりますね」
企業の規模や業種も毎回変わり、組むメンバーも変われば、先生やアシスタントも変わる。こうした実習を積み重ねることで、どんな現場に出ても動じない即戦力が培われていく。修士論文もユニークだ。