[秋]万葉集を読む
駿河台記念館
岩下武彦
講義詳細
作品の年代からすると、藤原京から奈良時代の歌が中心となります。古代国家の成立という未曾有の変化に直面した時代、ということになります。その時代に、人びとがどのように生き、何を感じ、どう表現したか、それを考えたいと思います。
万葉集は、それ自体の中に、歌う歌から書く歌へ、 という一回的な変化の歴史を留めています。年次を追って配列された歌を読み解くことは、 万葉集が紡ぎ出した歌の歴史をたどり直すことでもあります。
それはまた、現代と同様、あるいはそれ以上に変化の大きい時代にあって、異国の言葉を記す漢字と出会うことにより、古代の人びとがどのようにして自分たちの表現を立ち上げていったか、という問題に向き合うことでもあります。
歌が詠まれた時代と、それを万葉集がどのように位置づけたか、そういう点に留意しながら、読み進めたいと思います。
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。国文学研究資料館助手、名古屋学院大学専任講師、東京女子大学専任講師、助教授、教授、中央大学文学部教授を経て、名誉教授。主な論著 『柿本人麻呂作品研究序説』(若草書房)
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