67才テリー伊藤、22才の発表聞いても「元が取れる」

テリー伊藤流「まなび」主義その3

9月から慶應義塾大学院生として、SFCキャンパスで心理学を学んでいる、演出家でタレントのテリー伊藤(67才)。20代で大学院に入ったら就職前のステップだから学ぶことに心ここに在らずかもしれないが、大人の方が純粋に学ぶことを楽しめるのではないかという。

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9月から慶應義塾大学院生として、SFCキャンパスで心理学を学んでいる、演出家でタレントのテリー伊藤(67才)。20代で大学院に入ったら就職前のステップだから学ぶことに心ここに在らずかもしれないが、大人の方が純粋に学ぶことを楽しめるのではないかという。

緑の芝生に寝っ転がって、まるでアメリカ

「今日みたいに晴れた日は、緑の芝生でみんな寝転がって話したり、本を読んだり、スポーツしたりしてるんですよ。アメリカみたいですよね。カッコイイでしょう?
授業が終わったら喫茶店でだべるとか、雀荘行くとか、パチンコやるとかっていうぼくらの学生時代とは大違いですよ(笑い)。というのも、SFC(湘南藤沢キャンパス)の近くには学生街がないんですよ。辻堂の駅から30分、湘南台の駅から20分。言い方が悪いかもしれないけど、陸の孤島なんです。キャンパス内でしか学生生活がないから、学生たちは、その中でいかにエンジョイするかっていうことをやってる気がしますね。だからみんな仲がいいですね」

カッコイイSFCキャンパスの大学院ライフを順調に楽しんでいたテリー伊藤。前回「テリー伊藤 老後の心配より“老後をのんきに”が大事」で楽しみにしていた新歓コンパにもちゃんと行ったという。

「湘南台の焼き鳥屋さんに行きましたよ~。30人くらいが集まってね。恋愛の話とかして、青春してるって感じでしたねえ!」

しかし学事(学生課)から、とあるメールが送られてきていた。

「できますよ」とクールに言われて

「『このままだと退学になります』という内容で。えっ、入ったばかりで退学!?って焦りましたね(苦笑)。ぼく、楽しそうだなと思う学部(大学)の授業を2つ取っていただけで、ずっと大学院の授業受けてなかったんですよ。だけど、大学院に入ったのだから大学院の授業も受けて単位を取りなさいということなんです。そりゃそうですよね。で、先生のサイコスペース(心理学手法をベースに、数理学・精神医学・精神分析的に心的現象の解明を目指す学問)の授業を取ることにしたんです。
すぐに先生に挨拶に行ったんです。『これまで難しそうで逃げていたんですけど、受けることになりましたので、宜しくお願いします』と。そしたらいきなり先生が『じゃあ来月研究発表だから』って言うんです。こっちは、え!?ですよ。『え、何を発表するんですか?』って聞いたら『何って。大学院に来るくらいなんだから、何か発表する気があって来てるんでしょ』って。でも、PCだってやっと文字が打てるようになったくらいなのに、40分間発表するものを作れって言われても‥‥さすがに無理だって言ったんです。でも先生は『できますよ。やればいいんですよ』って、クールに言うの(笑い)。じゃあもう、やるしかないじゃないですか」

人生なめてかかって真面目にやれ

なんのレクチャーもなく、いきなり発表の舞台に立たされるとは‥‥。その後、他の学生たちが発表するのを聞き、彼は想像以上のハードさに戸惑いながらも、ある確信を持った。

「ぼくの人生のモットーとして、『人生なめてかかって真面目にやれ』というのがあるんです。頭はほかの学生の方がいいかもしれないけど、おれの方が人生経験豊富だし、修羅場をくぐってきているし。学生たちの研究発表よりも深いところをつけるっていう自信がある。40なら40年の、50なら50年の、ぼくなら67年の人生で疑問に思ったこととか、表現したいことを出せばいいんだから、なめてかかるようだけど、できるんじゃないかって思うんです。むしろ、これなら誰でもできるんじゃないかって。記憶力が重要な、英語とか歴史とかだったら難しいかもしれないですけどね」

そしてわざわざ大学に行くからには、必ず元を取って帰るという。

ここは面白くなかったけど

「そりゃあ67才にしたらね、22才の子が発表する内容には、まだ幼いなと思うこともあります。でもその時に、あの子ダメだったな、じゃなくて、何を感じ取れるかというのが大事だと思ってるんですよ。コンサートとか映画とかもそうですけど、今日のはつまんねえなっていったら、ゼロになっちゃうじゃないですか。だから、ここは面白くなかったけど、あの部分は面白かったなとか、来てる人がこうだったとか、何かしらを持って帰るようにしてるんです。
例えば、22才の子はなぜこれを言うんだろうって考える。平成パワーの持つ感性と自分の違いはなんだろうとか。悟り世代って言われるけど、悟ってるからこれ食べてるんだなとか、悟ってるからこれ着てるんだなとか、そういうことを考えれば、どんな状況でも新しい発想が浮かぶ訓練になると思うんです。だって、せっかく行っているわけだから無駄にしたくないじゃない」

けなしたり、批判することはしない。いいよいいよ最高だとあの笑顔で褒めながら、その奥で、若い同級生たちを洞察する。そして、「こんなに褒めてくれるテリー伊藤さんは、一体どんな発表をするんだろう」と周囲の期待をあえて高めさせているというのだ。おそるべき、テリー伊藤の演出力‥‥。

「だから今、真面目に資料を作ってる最中なんですよ、こういう感じで」

と見せてくれた資料は、3か月前に初めてPCを買ったとは思えぬ出来栄え。PC歴25年の記者にもできないパワーポイントをサクサク使いこなしている。書かれている言葉がキャッチーで、論文というよりともかく面白そうな内容に引きつけられる。

「パワースポットとパワーポイントの違いがわからないくらい、パワポって何ってところから教えてもらって3週間で習得したの。偉いでしょ(笑い)」

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テリー伊藤 慶応大学院で学ぶと決めた理由は
テリー伊藤 老後の心配より“老後をのんきに”が大事

取材・文/辻本幸路(まなナビ編集室) 撮影/渡邉茂樹

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