単語の格変化!?〈硬い変化〉と〈軟らかい変化〉って、なに?
阿出川修嘉先生が薦めるロシア語学習の第一手は、ローマ字とは似て非なる〈33文字〉を覚えること(前の記事「来るかロシア語ブーム、「魔の33文字」の攻略法」参照)。 まず、この文字を覚えることが、第1関門だという。
次に待ち受けているのが〈格変化〉だ。ロシア語の名詞は、男性名詞・女性名詞・中性名詞に分かれており、それぞれが格に応じて形が変わり、人称代名詞も格によって変化する。
さらに、ロシア語には日本語や英語にはない〈硬変化と軟変化〉という概念があり、そのどちらかによって、名詞の変化の仕方が変わってくるのだ。
ここまで読んで、ムリ! と思った人もいるかもしれない。が、一方で、ロシア語には日本語と親和性の高い側面もある。そこが面白いところなのだと先生は語る。
「英語をはじめとするゲルマン系の言語に近い側面もあれば、日本語に近い側面もある。その両方を兼ね備えているところが、ロシア語の面白さだと思います。少し具体例を挙げましょう。
たとえば、「持っている」などの所有の表現の発想は、日本語に似ています。「兄がいます」「お金があります」という場合、日本語だと、「誰それのところに~がいる(ある)」という発想で言葉を組み立てますよね。ロシア語もまったく同じです。
対して英語は「have」を使って、文字通り「持っている」と表現します」
It is coldのIt isはいらない
私には兄がいます
ロシア語:У меня(私のもとには) есть(ある) брат(兄).
英語:I have a brother.
ほかに「暑い・寒い」など、状態を表現する場合も、日本語に近い。単語をひと言発すれば意味が通ずる。英語だと、「It is cold.」と、ナゾの「It is」が必要になるが、そうした煩わしさはロシア語にはない。
「日本語と同じ発想もあれば、〈硬い・軟らかい〉など、ロシア語特有の概念もある。その相違を楽しんでもらえたらと思います」