高山右近で宗教弾圧史をいま振り返る

高山右近とその時代@上智大学公開講座

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講義するデ・ルカ・レンゾ先生。受講者のなかにはシスターの姿も

“知らないものが怖い”から、差別と迫害が始まる

教室のスクリーンには、1682年に掲示された高札(訴人褒賞札)の文言が映し出された。
・ばてれんの訴人 銀五百枚
・いるまんの訴人 銀三百枚
・立かへりの者の訴人 同断
・同宿并宗門の訴人 銀百枚

「ばてれん」「いるまん」は宣教師のこと。ばてれんの方が司祭や神父で地位が高い。「立かへりの者」はいったん棄教した者が再びキリシタンになった人のこと。「同宿并宗門」は宣教師の補助者と一般信者。

つまりこれは「キリシタンを発見して密告した人に報奨金を出しますよ」という札。現代の指名手配犯懸賞金制度と一緒だ。

「こうした札は明治政府になっても当然のように掲げられていました。国としてそれだけ徹底的なキリシタン追放の方針があったということ。

でも実際にはキリスト教は完全になくならず、現在も日本に残っているのはみなさんご存知の通り。それは残したいという国民の声があったからでしょう。迫害に負けない教会や日本人の力があったということです」

250年に及んだ日本におけるキリシタンの迫害は、現代のイスラム教徒への差別とも通じるものがあると思います。“イスラム教=怪しいテロリスト”と思って、実態もよくわからないままなんとなく怪しい、怖いと思ってしまう。

正しい情報を伝達し、前に進んでいくことが、現代社会においても我々一人ひとりに求められているのです」

〔今日の名言〕江戸時代のキリシタン迫害は、現代のイスラム教差別に通じる。
〔受講生の今日イチ〕貴重な資料に興奮するシスターの姿も。
〔大学のココイチ〕上智大学に隣接するイグナチオ教会。そのステンドグラスの美しさは必見!

〔おすすめ講座〕「出エジプト記」を読む
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取材講座データ
高山右近とその時代 上智大学公開講座 2016年秋期講座

2017年1月13日取材

文・写真/露木彩

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