(「地下40メートル。絶対見られない土木工事の現場を」から続く)
巨大な地下構造物を造ってまた埋め戻す
土木の知識習得とともに、工事の現場見学がセットになっているのがこの講座だ。2016年は夏に続き11月にも開催された。第2回目となるこの回は、受講者は午前中の講義に続いて、東京、埼玉、千葉をめぐる東京外かく環状道路(以下、外環道)の工事現場へ見学へ向かった。
「前回(見学した雨水管渠)は水害から地域を守る、まさに“縁の下の力持ち”ともいうべき土木工事でした。しかし、これはふだん、人目につくことはありません。もっとわかりやすく、スケールの大きなものはないのだろうか。そう考えて探し出したのがこの外環道の工事でした」(伊代田岳史先生、以下「」内同)
前回に引き続き、この公開講座の講師を務めるのが、芝浦工業大学工学部土木工学科教授の伊代田岳史(いよだたけし)先生だ。
東京都大田区から、埼玉、千葉へと、都心をぐるりとまわるように全85キロを走るのが外環道だ。2020年の完成を目指し、今も工事は続いている。今回、訪れたのが千葉県市川市の現場だ。
「上から掘ってすべてを開け、そこに地下構造物を作ってまた埋め戻す。そのような工事を行っています」
ひとつの工事現場をのぞいただけでも、巨大な構造物に誰もが圧倒される。地上から見えるのは、突っ張り棒が縦横無尽に組まれた広い敷地だが、地中に潜れば、その下に目を見張るような巨大なコンクリートの空間が現れる。橋桁のような柱がずっと先まで続き、その隙間から自然光が差し込んで、まるで神殿のようにも見える。ここに数車線分の道路が作られるのだ。
地上に戻ってやや高いところから現場を見下ろせば、たった今、目にしてきた巨大な空間がずっと前方にまで続いていることもわかる。今回の講座では親子連れがあったが、特に子どもたちの興奮は並大抵のものではなかったという。