英語が話せないと嘆く前に、まず声を出して
国内のお土産コーナーに、サムライ、富士山、桜など、日本文化を反映した商品が増えた。記者の地元、鎌倉を訪れる観光客にも外国人がものすごく増えたと感じる。
政府観光局によると、2015年には訪日外国人客数が1,900万人を超えたそうだ。2020年の東京オリンピックに向けて、訪日外国人のさらなる増加は間違いない。ところがそれを迎える日本人の英語力はまだまだの状態だ。
ところが大人向け英語講座「絶対話せるイキイキ楽しい英会話(初級)」の講師を務める巻田美智子先生(元実践女子学園中学校高等学校 英語科講師)は、英語力云々の前に大切なことがあるのだという。
「皆さん、中学・高校で十分に英語を学んできているのです。日本人は英単語もたくさん知っているし、文法もしっかり理解しています。むしろ知りすぎているくらいですよ。逆に足りないのは次の2つ。
〇声を出すこと。
〇相手とのコミュニケーションを楽しむこと。
言葉は “心” です。どんなに文法が出来てテストで100点を取れる人でも、会話が全く出来ない人もいます。“話しかけたい” “教えてほしい” “助けてあげたい”という心があれば、自然と言葉は出てくるものです。英語を学ぶなら、まず第一にコミュニケーションを取りたいと思う気持ちが大切になってきます」
この文法でいいのか、というモヤモヤを
日本人は英語ができないわけじゃないのだ。そう、かえって知りすぎているからこそ、この文法でいいのかな、とか、もっと適切な単語はないかな、とか悩んでしまうのだ。そうしたモヤモヤを晴らしてくれるのが、この講座の大きな特徴だ。使用するテキストも次のような簡単で楽しいもの。
テキストに目を通しながら、お手本となるフレーズをCDで聴いていく。まずは自己紹介から始まり、自分の気持ちや意見まで、自分について話す練習をする。主に身の回りのことが中心なので、生活に密着した語彙や表現が自然と身につく。そして、2人1組となってロールプレイングを行う。たとえば次のような感じ。
「What do you usually have for breakfast?」
「I usually have a western-style breakfast: toast, a cup of coffee and seasonal fruit. 」
簡単な会話なのだが、日本人の場合、まず英語を話そうとする前に考え込んでしまう。ロールプレイングをすることで、考えなくてもすっと出てくるフレーズをたくさん覚えておくことがとても大切だという。
口角をあげると英語モードに変わる?
巻田先生は、英語で話しかけるときには必ず次のことを心がけてほしいという。
〇恥ずかしがらずに!
〇笑顔で!
〇伝えたい、という気持ちを大切に!
それがうまくできないから困っているんです、という人に対して、思いもよらないアドバイスが飛んだ。
「英語を話すときは口角を上げて。しぜんと笑顔になるし、英語も発音しやすくなりますよ」
試してみてびっくり。たしかに英語(に限らず外国語全般)をうまく発音するには、唇の形と舌の位置が重要だ。口角をあげるだけで唇に力が入るし、英語を話すぞ、と脳がスイッチを入れるようだ。
コミュニケ―ションには身振り手振りなど全身を使った表現も大切。「まずは唇から」と実践してみてはどうだろう。
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取材講座:「絶対話せるイキイキ楽しい英会話(初級)」(実践女子大学公開講座日野キャンパス)
文・写真/Yukako