男はハダカ、女人禁制だった古代オリンピック

2020年東京五輪を考える ―オリンピックの歴史・思想と現実の諸問題―@明治大学リバティアカデミー

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パナシナイコスタジアム

第一回近代オリンピック(1896年)の会場となったパナシナイコスタジアム

女性は参加も観覧もできなかった古代五輪

文字通り平和の祭典であった古代オリンピックだが、その実施概要は現代から見ると驚きの内容である。

〇競技者は10か月以上前に集合し、真剣にトレーニングに励んだ。
〇競技中は衣類を着ないで、裸体に日よけ防止のオイルを塗った。
〇競技期間は5日間。1日目は登録と宣誓、最終日は表彰と神への感謝。2、3、4日目にゲームを行う。
〇女性は見ることも、参加することもできなかった。

ちなみに、近代オリンピックのマラソンの距離である24マイル(42.195キロ)が、古代ギリシャに由来するのは有名な話だ。アテネ軍とペルシャ軍が戦ったマラトンの戦いで勝利したアテネ軍の兵士が、勝利を伝えるためにマラトンからアテネまで走った距離が、24マイルだったのである。

チャリオットレースの勝利者こそ、ウィナー中のウィナー

古代オリンピックで行われた様々な競技の中で目を引くのは「チャリオットレース」だ。これは人が馬車に乗って馬を走らせ、そのスピードを競うゲームである。

「古代オリンピックの競技で、ウィナー(勝利者)中のウィナーとされたのが、このチャリオットレースの勝利者です。なぜかわかりますか?

ギリシャ時代の馬は戦闘の道具であり、農耕の道具であり、また交通の手段でもあるという大変有能な家畜でした。この生活に欠かせない馬を自由自在に御せる若者こそが最高のスポーツマンとして称えられたわけです」

今の時代であれば、さしずめコンピュータを自由自在に扱う技術者が尊敬されるようなものだと、寺島先生は説明する。

クーベルタンはこうした古代オリンピックに学び、人間教育における「身体性」を取り戻そうと考えた。そして1894年、パリで開かれた国際会議で近代オリンピックの理念が討議され、1894年6月23日、IOC(International Olympic Committee)を設立。4年に一度、国際的スポーツ大会を開催することが決定されたのである。

あと3年足らずで、半世紀ぶりの日本での夏季五輪。期待に胸ふくらませて、オリンピックのことを学ぼう。

取材講座データ
2020年東京五輪を考える ―オリンピックの歴史・思想と現実の諸問題― 明治大学リバティアカデミー 2017年春講座

文/まなナビ編集室 写真/SVD、(c)nastyakamysheva / fotolia

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