管理職のパフォーマンスを可視化しようとする会社も
後半の議論の時間では、受講者から意見や質問が活発に出された。同じ物流関係者として、制度導入の背景や意義は理解しつつも、社員のモチベーション低下を心配する声も多く聞かれた。
「私の会社でも同じような制度を導入しましたが、優秀な人はどんどん伸びる。でも、そうでない人は伸びない。中間層が二極化する。効果が出やすい会社とそうでない会社があるように思います」
「職位や給料が上がる人は良いが、下がる人はどうなのでしょう? その人の責任によらず、下がってしまうことはないでしょうか? 単なる賃下げと社員に受け取られてしまいませんか?」
こうした声に斎藤さんは次のように答えた。
「新制度は管理職に厳しい制度です。どの会社にも奨める制度とは思いません。今、わが社は危機感を持っています。会社がなくならないようにしなくてはなりません。そのためには改革が必要です。そこで、一時的に大変でもショック療法を選ぶことを決断しました。会社が成長して再びポストを増やし、社員の待遇も上がるようにもっていかなければなりません。制度は構築より運用が大事です。社員の声を丁寧に聞かないと間違った結果になってしまいます。社員向け説明会では丁寧な説明が必要です。評価者と被評価者、両方に理解してもらわなければなりません。経営陣にも途中でぶれない覚悟が要ります」
これに対し、「個人データは誰が管理するのですか?」といった運用面での質問も出た。
「自己申告書を紙から電子化へ。まず管理職から始めます。人事部が人事データベースとして管理します。適性検査データやアセスメント研修の結果など複数データと併せて蓄積し、機械学習と組み合わせれば、人事の予測・戦略に活用できます。たとえば、どういう人や行動が高いパフォーマンスを生み出すか、どのような人・状況が離職や病気に繋がり易いか、どういう人の組み合わせだとチームのパフォーマンスが上がるか、といったことに活用できます」