注目の使える英語力指導法 CLIL は「英語で学ぶ」

【Interview】狩野晶子先生(上智大学短期大学部英語科准教授)

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英語で学ぶ

小学生に英語を教えられる教師(教員)が少ない

2020年からは小学校英語も本格化する。ここでも CLIL的な指導法を期待したいところだが、ネックは教員不足。小学校教員は大学の教職課程で英語指導法が必修ではなかったため、自信を持って教えられる教員が少ないのが現状だ。

「ご自分が中学校で習った勉強法のイメージを持っている方が多いのですが、中学生と小学生ではまるで違います。例えば中学英語の最初に習うbe動詞は、一般動詞より不規則に変化しますから小学生には難しい。疑問文にするときは主語と動詞をひっくり返す、というルールも抽象的すぎて腑に落ちません」(狩野先生。以下「 」内同)。

たしかに。英語に限らず、フランス語でもドイツ語でも、英語のbe動詞にあたる動詞がもっとも複雑に活用し、学習者を悩ませる。狩野先生は、基本動詞ほど、活用も発音も不規則になるという。

「たとえば、基本中の基本動詞である“do”。これを“ドゥー”と発音するのは、それを知っているから。知らなかったら“ド”と発音するでしょう。その3人称の“does”も、英語の発音ルールでは“ドゥーズ”です。でももちろん正しくは“ダズ”。基本動詞ほど難しく、奥が深いのです。これを真正面から教えては、英語嫌いを作ってしまいます。そこで、英語に初めて接することになる小学校の現場では、自然にそういったことを覚えられるよう、工夫しながら教えていくことが求められます」

こうした課題を抱えつつも、2020年はもう目前。大学教育が変わり、小学校英語も始まれば、間にはさまる中学・高校の英語教育も変わらざるを得ない。

「今の変化は、小学校から大学まで、すべての英語教育の過程で、コミュニケーションの道具としての英語という位置づけを確立するチャンス。なんとかその方向に持っていきたいですね」

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文/小島和子 写真/小島和子(講義風景)、(c)Bastos、(c)TungCheung / fotolia

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