嘘をつこうと思えばつけるのに、起こったことは、隠さずにすべて正直に言う。信玄自体は、ある意味、そんな男らしい潔白な性格の持ち主だったのかもしれない。また、この手紙は「起請文」と呼ばれる形式を取っており、神仏に誓いを立てる契約書的なもの。信玄が、この源助にかなり尻に敷かれているような印象も受ける。
「この手紙において興味深いのは、当時の君主と家来の関係性ですね。本来家来である源助に信玄がへりくだった手紙を送っていること。弥太郎も君主から迫られても『腹が痛い』などと理由をつけて、信玄との関係を拒んでいます」
「武田信玄=坊主でガチムチ」は、間違い?
そのほかにも講義内では、武田信玄が有名な割には謎の多い人物であることが話題になった。そのひとつが、肖像画。現在武田信玄の肖像画として有名なのが高野山成慶院に伝わるもので、そこで描かれている姿から「武田信玄といえば、坊主頭で肥満体」というイメージが強い。だが、実はその肖像画はまったくの別人ではないかという新説なども紹介されていた。
戦国時代の武将を、毎回1人ずつ紹介していく本講座は、配られたレジュメとパワーポイントを使い、講義形式で実施されている。参加人数は20名前後。
専門的な内容に言及することもあるが、大河ドラマや有名なエピソードなどを交えた説明も多く、初心者でもわかりやすい内容になっている。
丸島先生いわく「古文書解読などと違って、戦国時代は多くの人に馴染みのある時期のひとつ。もともと歴史に興味のある人はもちろん、歴史初心者でも理解できるような講義づくりを心がけています」。
大河ドラマ「真田丸」をはじめ、「歴女」「刀剣女子」など若い女性層からも支持を集めている戦国武将たち。すでに関連書籍等も豊富だが、講義では常に専門家による最新情報が聞けるのが魅力。講義を通じて、武将たちの知られざる一面が感じられる。
〔講師の今日イチ〕「武田信玄はガチムチじゃなかった!」
〔大学のココイチ〕「教室のある京華スクエアは元小学校校舎。童心に戻れます」
〔おすすめ講座〕人物でたどる戦国史
古文書からみる戦国時代
取材講座データ | ||
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人物でたどる戦国史 | 早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校 | 2016年度秋期 |
2016年12月7日取材
文/藤村はるな 写真/(c)takashikiji – Fotolia