ボディタッチは、マウンティング
欧米でのビジネスで重要なのは、それだけではない。言葉以外のノンバーバル・コミュニケーション(非言語コミュニケーション)も大切になってくる。
「たとえば、テーブルに着いたときに、ディスカッション相手と自分がどこに座るかも非常に重要です。自分がなにか強く主張するのであれば、説得したい相手の正面に座るのが一番効果的です。正面に座ることで、心理的に相手に圧迫感を与えることができるので。逆に、自分が『相手の話をじっくり聞く』のであれば、相手の正面ではなく横の席に座るようにしましょう。これはカフェテリアトークと呼ばれるのですが、横並びで座るとよりリラックスして、心理的にも対等な状態になるので、話がしやすくなります」
また、交渉中は、テーブルに置く自分の手の位置にも注意が必要だ。
「交渉のテーブルについたら、両手はテーブルの上に出しておきましょう。テーブルの下に手を置くのはダメです。また、日本人がやりがちなのは、テーブルの上の資料にばかり見たり、資料を手でいじったりするというもの。資料に気を取られているように思われてしまうし、閉鎖的な印象を与えてしまいます。
それから、話に詰まったからといって、交渉相手から目線をそらすのもNG。目はしっかりと交渉相手に向けていること。視線をそらして、窓の外を見たりしないようにしましょうね」
そして、欧米でのビジネスにおいて、大事なコミュニケーションのひとつとなるのが「ボディタッチ」だ。日本では、近年「ボディタッチ=セクハラ」というイメージが強いが、欧米でのビジネスシーンでは、ボディタッチはある種の「マウンティング」(自分の方が相手より優位にあるとアピールすること)のような側面もあるという。
「欧米では、ボディタッチはコミュニケーションのひとつ。上司が部下に対して自分の権威を示すために、挨拶のときに肩や腕などを軽くタッチするケースが多いです。先に体に触ったほうが、主導権を持っているイメージですね。だから、女性がビジネスの交渉に立つ際には、相手に軽く見られないように、交渉開始の挨拶時に、女性から先に男性にボディタッチすることも多いですよ」