魔の〈33文字〉攻略がロシア語上達のカギ
ワールドカップに行くから、フィギュアが好きだから、ロシア語を学ぶ。なんと正しく楽しい学びだろう。ところがその行く手を阻むのがロシア語の難解さだ。世界一難しい言語との呼び声も高いロシア語。本当にロシア語は難しいのか? どこが難しいのか? クリアする秘策はあるのか? 先生にポイントを聞いた。
「フランス語やドイツ語も相当複雑なので、ロシア語だけが群を抜いて難しい、というわけではないと思いますね。それでもロシア語が難しいと言われる理由の一つに、文字の難しさがあると思います。ロシア語は〈33文字〉から成るのですが、これが“ローマ字とは別もの”なのです。
文字について、もう少し正確に言うと、以下の3つに分けられます。
(1)ローマ字と形と音がほとんど同じ文字
(2)ローマ字と形は同じだが、音は違う文字(例:[H]の発音は[エヌ])
(3)ローマ字には含まれていない文字(例:Ш、Ю、Я)
多くの人は英語のアルファベットに慣れているから、この英語と“似て非なる”文字に苦労するんです。裏を返せば、この〈33文字〉さえ覚えてしまえば、その先は、特別にロシア語が難しいわけではなくなるはずですよ」
語学はスポーツ。素振りやシュート練習を繰り返すように
中国語は漢字であるがゆえに、最初の一歩を踏み出すハードルが低いだろう。対してロシア語は、最初に大きな山を超えねばならず、そこに、難しさを覚えるのだという。では、この〈33文字〉を覚える秘訣はあるのだろうか?
「私の場合は、ローマ字とは全くの別物だと意識して覚えました。ローマ字から類推すると、かえってわからなくなると思ったからです。ただ、覚えること自体に秘訣はなくて、覚えるしかない(笑)。語学ってつまるところ、スポーツなんです。素振りやシュート練習を繰り返すように、理屈を理解した上で、反復練習をするしかない。練習を重ねているうちに、自分の成長を感じて、楽しくなっていってもらえたら嬉しいですね」
(続く。次回「2種類の「あなた」。ロシア語は親しさの度合判断が難しい」ではいよいよロシア語攻略に迫る)
【講師略歴】阿出川修嘉(あでがわ・のぶよし)
東京外国語大学非常勤講師、同特別研究員。神奈川大学非常勤講師。博士(学術・東京外国語大学)。各大学での学部生・大学院生向けの授業に加えて、上智大学、TUFSオープンアカデミーなどの公開講座においても、様々なレベルに対応したロシア語の授業を担当。
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◆取材講座:「ロシア語 入門1 基礎からじっくり学ぶ」(上智大学公開学習センター)
文/まなナビ編集室 写真/上智大学提供、SVD