昆虫脳、神経細胞はヒトの10万分の1だがスゴ過ぎる

バイオミメティクス市民セミナー@北海道大学総合博物館

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目からウロコのミツバチ・ダンス

これが目からウロコだった。

ミツバチが8の字ダンスや円形ダンスを踊り、餌の方向と距離を伝えているということは広く知られているが、一般的なイメージと実際はかなり違っていたことがわかった。

ブンブン空を飛べる蜂のこと、てっきりミツバチの巣の前で飛びながら8の字を描いたり円を描いたりしているのかとばかり思っていたら、実際は、巣の中でモゾモゾと歩きながらダンスを踊るのである。

例えるなら、めちゃくちゃ混んだクラブで人混みをかき分けながらステップ踏んでる感じ?

そしてこのダンス、通常、巣の中は真っ暗なので、目で見ることはできない。私たちは「会話」というと、音で仲間とコミュニケーションを図るも、ミツバチも同じようにダンスを踊る羽の音で、ダンスの形態を理解しているのがわかってきた。

しかもダンスを踊るミツバチは、ダンス中に、仕入れてきたごちそうを吐き戻して周りのミツバチに振る舞うのだとか。こうして採ってきたごちそうのニオイを伝えるのも、大事なコミュニケーションだと考えられている。

またごちそうだけではなく、ダンス中にフェロモンまで出して、仲間を惹きつけるのだと聞けば――――踊ってフェロモン出して餌で釣る……ホントにクラブのダンスシーンみたい!

 

えさ場までの距離はこう測る

こうしたミツバチの行動とその受け取りかたは、研究者たちの地道な努力によって解明されると、水波先生は説明する。

その解明に向けて、8の字ダンスを踊るロボットを作り、本当にその方向へ仲間が飛んでいくのか、各方向に研究者たちを配置し、飛んできたミツバチの数を数えて統計を取る。

そこから「情報は伝達できてるみたいだけど飛んでくるミツバチの比率は低くないかな?」と気付いて、調べてみるとフェロモンも出していたことが判明したりもする。山ほどの実験を重ね、山ほど失敗をして、少しずつ謎が解明していくのだそう(それがまたあとから否定されたりもするんだそうな)。

また、ミツバチはかなり正確にえさ場までの距離を測り、それを仲間に伝えることができる。そのわけを以前は、飛行に費やした蜜の量を量っている、つまり燃費で計算していると考えていたが、最近では、移動するときに周りの風景が流れていく様子から距離を測っているのではないかと考えられるようになってきたという。

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