よし、ヒミツのワザを教えてあげよう
そう司会の学生が切り出すと、子供たちが一斉に手を止めて前を向いた。
「グリスを塗りすぎないことがポイントだよ」という“ヒミツのワザ”を聞くと、また手元に視線を向け、教えてくれている大学生のお兄さん、お姉さんからグリスの塗り方を教えてもらい作業に没頭するのだ。
「早く終わったね。次はここを作るから説明書を読んでおいてね」
「ネジはちゃんと閉められた?ちょっと見せてね」
「お兄さんがもっているから、この小さいほうのネジ回しでここを回してね」
なんとぜいたくなことにこの講座では2人の子供に対して1人の学生がつきっきりで教えてくれる。
2人に対して1人だから、どちらかが早く終わってしまってもお兄さん、お姉さんが飽きないようにしっかりとサポートし、見守ってくれるのである。しかも、それだけでも手厚いのに、それ以外にも“遊撃手”という全体を見守る4、5名のサポーター学生が子供のことを気にかけて見守ってくれているのだ。
司会の学生も、カメラマンをしている学生も、何かあればサポートに入って子供たちの工作を手厚くサポートしているのだ。…だからなのか、お疲れのお父さんの何人かは外野席でウトウトとしていた。