地中深くに横たわる巨大なトンネル――雨水管渠の見学へ
「まず地下40mまでエレベーターで下りて、その後はトロッコで現場に向かいました。ふだん見ることのできない世界ですから、それだけでもみなさん驚いたと思います。ただ、この現場がどれほど“スゴイ”のか。すべてを伝えきれないのが歯がゆかいところでしょうか」(伊代田岳史先生、以下「」内同)
オフィスビルやマンションが建ち並ぶ東京都江東区の埋め立て地の豊洲。近未来的な整然とした街並みが続くが、その一角にあるのが芝浦工大の豊洲キャンパスだ。
ここで土木を教えるのが工学部土木工学科教授の伊代田岳史先生。昨年は夏と秋の2回、一般向けに公開講座を開いた。
土木講座の当日。午前中は、豊洲キャンパスの教室で、30人の受講者を相手に、治水、道路、鉄道など、街づくりに土木がいかに役立ってきたかを説明。その後、午後には都内を走る川のすぐそば、地下約40メートルに作られた雨水管渠(かんきょ)の工事現場に向かった。通常ではもちろん絶対見られないところだ。
現地についた受講者たちは、40m――ビル10階ほどの縦穴をエレベーターで下りた。そこに現れたのが、水平に走る巨大なトンネルだ。直径5mほどの見上げるほどの大きなトンネルの入り口にはトロッコが用意され、それに乗りこむと、全長約3キロにもわたる長いトンネルの中に入り込んでいった。
鉄骨で組み立てられたトロッコからは、トンネルの様子が良くわかる。しばらくドーム状のコンクリートの単調な風景が続いたが、10分ほど走ったところで降りると、そこから先は、壁から天井までギッシリと銀色の断熱材で覆われていた。受講者たちは巨大な構造物に目を見張った。