今は第4のグローバリゼーション~そもそも人類史はグローバル

湯沢威学習院大学名誉教授:グローバリズムと現代@学習院さくらアカデミー

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第2次世界大戦前の状況を再現することになるのか

「第2次世界大戦の前にも似たような現象が起こりました。第3のグローバリゼーションのピークが1913年であり、1914年に第1次世界大戦が勃発したのは単なる偶然だったのでしょうか。第1次世界大戦後、各国は保護主義に向かい、やがて第2次世界大戦が始まりました」

グローバリゼーションの波は常に外からやってくる。それに対し、人間は多様な個性を持っている。その多様性にグローバリズムはどこまで対応できるのか? 

「グローバリズムが進んだ末にブレグジット(イギリスのEU離脱。Britain×Exit から)やトランプ大統領が登場し、保護主義の流れが強まりつつある今の流れは、第2次世界大戦前の状況にかなり似ていると思いませんか」

コスモポリタニズム

悲劇をくり返さないためには

現在進行中の第4のグローバリズムが、紛争や世界大戦といった悲劇に進まないためにはどうすればいいのか?

「グローバリズムではなく、コスモポリタニズム(世界市民主義)に向かうことです。わたしたちが意識を変えるのです」

コスモポリタン的人間について、文化人類学者のナイジェル・ラポートは「属性や階級などと関係ない、各人の個性の尊重」「既存の伝統、イデオロギー、社会の拘束を受けない文化的自立」「個人はどのような思想信条を持つ法的権利をも持つ」と記している。

「真のコスモポリタニズムは何かというのは、確かに難しい問題です。しかしグローバリズムから反動としての保護主義、そして戦争へという100年前の悲劇を繰り返さないためにも、常に問い続けていく必要があると思います。かつてマルクスは『万国の労働者よ、団結せよ!』と呼びかけましたが、いまや『万国の市民よ、団結せよ!』と呼びかけたい」

講座修了後、グローバリズムについて熱心な質疑応答があったが、それについては次の記事「グローバリズムで世界が進歩する?格差が拡大する?」に掲載する。

*秋に湯沢威先生による4回シリーズのグローバリズム講座も開催予定。

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〔講師のココイチ〕 講演の冒頭にあった、人間とチンパンジーの違いは、国や貨幣、宗教といった「フィクション」=実体のないものを信じられるかどうか、という話が印象深い。

文/小野千賀子 写真/小野千賀子(講座風景)、(c)peshkov、(c)Syda Productions / fotolia

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