知ってトクする、盆栽の褒めポイント
鑑賞して楽しむためには、評価ポイントも覚えておきたい。
まず「根張り」。板状になっている「板根(ばんこん)」と呼ばれる部分の根の張り具合を見る。自然の状態ではうまく四方八方には伸びない。盆栽の場合は、人が手を加え、バランスをとる。
次に「立ち上がり」。根から幹の立ち上がり部分のダイナミックスさ、足元からの古さを見る。
「枝張り」はわかりやすい。枝がバランス良く配置されているかどうか、だ。しかしそのポイントが面白い。枝のバランスとは、幹がいかに見えやすいように配置されているか、なのだ。やはり「立ち上がり」が大事であり、その立ち上がりをアピールしながらもいかに自然に枝を見せるかに、職人の腕の見せ所があるのだという。
そして「こけ順」。こけは、「木毛」と書く。足元はしっかり太く、そして先端に行くほどに細くなるように作っていく。
「盆栽は上から見るな」はなぜ
「盆栽は上から見てはいけません。下から上へあおぎ見るもの。その時、盆栽が “巨木に見える” 瞬間があります。頭でっかちの盆栽ではそうは見えない。巨木に見えながら、なおかつ小さく作る。そこに、盆栽の醍醐味があります」(川崎先生)
盆栽は、樹齢と大きさが比例しない。樹齢300年を超える盆栽だとしても、大きければいいというものではない。小さくなければ盆栽としての評価にはつながらないのだ。小ささをキープすることは、時間と手間の結晶である。どれだけ気配りをしてきたか、ということの証明となる。そこに、盆栽の妙味があり、観て楽しむポイントがある。
そのほかにも、盆栽を楽しむポイントがいろいろに紹介された。まずは、これらの基本となるポイントをもとに、実際に盆栽を「鑑賞してみる」。いくつもの盆栽を実際に観て楽しむことにより、奥深い盆栽の世界は広がっていく。川崎先生が広めたいという「盆栽鑑賞」。その楽しみ方が垣間見える。
〔関西で日本文化を学ぶ〕
庭園学講座24「数寄者と庭の物語」
江戸時代の茶の湯を知る
〔あわせて読みたい〕
街路樹の根がうねうねと盛り上がっている理由は?
「日立の樹」、高さ25m横幅40mで倒れぬ理由
森で迷ったら年輪を見ろ!は危険、木の生態を知る
〔受講生の今日イチ〕 受講生の方は、通信教育部の方と一般受講の方がいた。積極的な質問が多く、興味を持って受講されている様子が伝わってきた。
取材講座:「日本盆栽ー小さな巨木」(京都造形芸術大学・藝術学舎瓜生山キャンパス)
文・写真/植月ひろみ