世界基準の研究室によるゲーム観戦者用AIのワクワク構想

ゲーム観戦者と人工知能@立命館土曜講座

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サスペンスで関心をつかむ

開発の最重要課題は「ゲームの観戦の楽しさの実現」だ。これを実現するためのキーは、「サスペンス」だとターウォンマット先生は語る。

「サスペンス」と聞くと、ついテレビドラマの「〇〇サスペンス劇場」を思い浮かべてしまうが、科学の世界でサスペンスとは、「情報の非対称性」を意味する。具体的には、ある情報を、一方が知っているけれども一方が知らない場合に生まれるハラハラドキドキの緊張感。このサスペンスが、面白みのあるゲーム作りに必須となるそうだ。

さらに、「観戦者」を楽しませるゲームAIを作るためには、次の2つのステップが必要だと、ターウォンマット先生は指摘する。

第1ステップが、「AIの個性(ペルソナ:Persona)の確立」。たとえば、同じ対戦ゲーム愛好者でも、接近戦が好きな人もいれば遠距離から波動拳(『ストリートファイターシリーズ』の場合)で攻撃する戦法を好む人もいる。「観戦者」のニーズに合うゲームプレイを作り出すために、まずは「プレイヤー」となるAIに個性を持たせる必要がある。

第2のステップは「プレイアークの実現」だ。たとえば、主人公が最初から最後まで単調に暮らすだけの物語に面白みはあるだろうか。ゲームも同じで、ピンチを乗り越えて勝利するような流れがあってはじめて、「観戦者」の心をつかむことができるのだという。

つまり、最終的な目標は、観戦者ひとりひとりのために用意された、プレミアムな一戦と、サスペンスに満ちた観戦体験なのだ。AIが叶える、自分のためだけの一戦が待ち遠しい。

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取材講座:ゲーム観戦者と人工知能(立命館土曜講座)
文/木村やよい 写真/ゲーム画面・概念図(ターウォンマット・ラック)、木村やよい(講座風景)

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