男性脳なら「ポイントは3つです」
共感し、共感され、察する天才の女性脳だが、男性脳との違いはまだまだある。
女性はコトの顛末を最初から最後まで、プロセスをすべてしゃべらずにはいられない。ひたすらしゃべり、その裏側ではすさまじい勢いで演算を働かせ、真理を追求する。しゃべっている間に答えが見つかり、時には自己反省もする。しゃべりつくして立ち直ってくのが女性だ。女性脳は「プロセス指向共感型」と表現できる。
それに対して男性はまず結論を求める。話の目的は初めからはっきりとして、結論もある。そして結論から前倒しする形で、話の全体を構成する。「ポイントは3つです」と言うべきこともあらかじめ明確に示される。 男性脳は「ゴール指向問題解決型」と言えるだろう。
「プロセス指向共感型」の女性脳と、「ゴール指向問題解決型」の男性脳の違いが、職場でのトラブルの原因となる。
職場で女性が男性の上司に何かを提案すると、返ってくる答えはいつも否定ばかりだ。少なくとも女性にはそう感じられる。企画書を作れば、あれが悪い、ここが足りないと弱点を突かれる。「ゴール指向問題解決型」の男性脳の典型的な働きだ。
有効なのは『頼り返しの術』
だが、めげてはいけない。黒川先生は、「否定をされたのではない。提案が良かったから、この弱点を何とかしていち早くゴールを目指そうじゃないかと認められた。そう受け止めよう」と語っている。そう考えることが、女性にとって職場での”マナー”だとも言う。
「頼り返しの術」が有効だ。弱点を突かれた時、「そこなんですよ、部長。どうしたらいいと思いますか?」と切り返す。
女性から頼られ、男性として悪い気はしない。そればかりではない。男性脳は命題を与えられると、とたんに脳が働き始める。「頼り返しの術」は、「ゴール指向問題解決型」の男性脳の特徴を逆手に取る有効な手立てだ。
「それはお前の仕事だろう」と言われても、「ですよねー。がんばります」と答えて引き下がれば良い。企画は認められたのだ。
〔講演中の今日イチ〕弱点を突かれれば「そこなんですよ、どうしたらいいと思います?」と「ゴール指向問題解決型」の男性脳に訴えかける
(続く)
〔前の記事〕なぜ女は、転びそうになって転ばなかった話をするのか?
〔講師profile〕黒川 伊保子(くろかわ いほこ)●(株)感性リサーチ代表取締役。人工知能研究者/脳科学コメンテイター、随筆家、日本感性工学会評議員。脳科学の見地から「脳の気分」を読み解く感性アナリスト。大塚製薬「SoyJoy」のネーミングなど、多くの商品名の感性分析に貢献している。宣伝会議のコピーライター講座で講師も勤める他、「男女脳差理解によるコミュニケーション力アップ」を目的とした講座も人気。
取材講座データ | ||
---|---|---|
男女脳差理解と感性マーケティング | 明治大学リバティアカデミー | 2017年1月26日、2月2日、9日、16日 |
2017年1月26日取材
文/本山文明 写真/黒川伊保子先生、(c)pressmaster – Fotolia