企業価値は何で決まるのか
昨年、台湾の鴻海(こうかい)精密工業が3888億円を投じてシャープの親会社になった。企業買収の報道を耳にするたび、唖然とするのがその桁外れの金額である。そもそも企業の価値は何で決まるのか?
関西学院大学経営戦略研究科で毎年行われる「ファイナンス連続セミナー」。ビジネススクールの教員がそれぞれの専門領域をテーマに4週連続で講演するというもの。今回の講座「リアル・オプション 入門から応用まで」は、ファイナンスや金融工学を専門にする甲斐良隆先生(関西学院大学経営戦略研究科教授)によるものだった。
講義は豊富なスライドをもとに「オプション価値」という考え方を、初心者でもわかるように解説するもので、受講する人々も近隣企業で働く40代以上のビジネスマンが中心。事細かにメモを取り、自社の経営戦略に必要な知識を吸収しようとする真剣な眼差しがそこにはあった。
M&A(merger and acquisition 合併と買収)、株式投資、融資などの際に論じられるのが「企業価値」である。甲斐先生によると、「企業価値」は2つの価値の合計で算出される。 1つは「キャッシュ・フロー価値」(現金利益)。もう1つは「オプション価値」である。