洋服をお店に見に行っても、いつまで着られるのかなって
「体を鍛えるのはこのところずっとトレンドですよね。ぼくもスポーツジムに行ってますけど、50代、60代の素敵な女性たちを見てて、“この人たちは次にどこにいくのかな、何を人生の目的として生きていくのかな”って思ってるんですよ。肉体の次は何かなって。いまぼくは大学院で勉強することは、頭のスポーツジムだと思うんです」
「次に来るトレンドは絶対に学ぶこと」と断言するテリー伊藤。数年前から日常の節々で、次の人生の目的を探していたという。
「なんかむなしくなっちゃったんですよ。このくらいの年齢になって、モノばっかり買っててもしょうがないでしょ。ぼくは洋服が好きだけど、洋服をお店に見に行っても、いつまで着てられるのかなって考える。
で、じゃあ何なら喜びとか充実感を感じるのかなって思うわけです。人によっては趣味とかボランティアとか、いろいろあるんでしょうけど、ぼくは学ぶことなんじゃないかと思ったんですよ。大学院に行って勉強しようかなって。そんなことを漠然とだけど、何年か前から考えていましたね」
ままならない恋愛もいいけど
その時に学びを選んだ一番の理由は?と尋ねると、人懐こい笑顔でこう言った。
「“ままならない”ことだから」
「60過ぎて“ままならない”ものを持つって幸せじゃないですか。勉強って大変でしょ。ままならないでしょ。それがいいんですよ。もちろん恋愛もいいと思いますよ。ままならないから。だけど恋愛してると不倫、と言われちゃうし(苦笑)、そこばかりにいってるわけにもいかないからね」
慶應大学を選んだ理由も、彼らしい。
「ぼくは中高と早稲田(早稲田実業)で、大学は日本大学だったんですけど、いろいろ調べているなかで、慶大SFC(湘南藤沢キャンパス)の映像見た途端、“ワオ!”と思っちゃったの(笑い)。見たことがないようなすばらしい景色と雰囲気なんですよ。アメリカみたい。どうせ大学院に行くんだったら、雰囲気のいい、かっこいいところに行きたいじゃない」
大学院では人間の心理を学ぶ予定だ。
「コメンテーターやるにしろなににしろ、人を見ていると、この人はどういうことを考えてるんだろうって思うわけですよ。小池百合子都知事は今どんな気持ちかなとか、不倫して騒がれてる人の気持ちってどうなのかなとか。10代で頂点を極めて落ちていく人は今どういう精神バランスなのかなって。
それから2020年の東京オリンピックのことも気になったんですよね。ぼくらの世代はみんな、“とりあえず東京オリンピックまで頑張ろう”って言うんです。それで当然やってくる“2020年ロス”。それはもしかしたら年配の人だけじゃなく、日本人全体に2020年ロスがあるかもしれない。それに対してどう対応していくのかなとも思ってるんです。
1時間20分のうち1時間15分は英語
あとはぼくが心配性だから、仕事をリタイアしたら、次に何を人生の喜びにしていくのかとか。そんなことを常々思っていたので、人間の心理を学びたいと思っているんです。それを入試用の小論文に書きましたね」
はれて入学式。しかし思わぬ事態が襲った。
「入学ガイダンスが1時間20分くらいあったんですけど、そのうち1時間15分は英語で(笑い)。もうね、笑っちゃいましたよ。まあ、モニターが用意されていて、そこに片側の表示は英語、もう片側の表示は日本語で出ていたので内容はだいたいわかったんですけど。日本人だけに向けては話してないんです。だからキャンパスにいると、日本にいる感覚がしないんですよね。これヤッばいなって。でもすごく面白いなって」
〔テリー伊藤流「まなび」主義〕
老後の心配より“老後をのんきに”が大事
22才の発表聞いても「元が取れる」
サンジャポ収録のあと5時間していること
大学院の研究発表をしたら教室中がシーン…
『お笑いは北朝鮮』みたいな大学院の論文を
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取材・文/辻本幸路(まなナビ編集室) 撮影/渡邉茂樹
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