スマホ時代、知識の価値が変わってきた
―図書館と同じく、知識を得る手段とされてきた書籍も、変わっていかなければならないのでしょうか。
千田:そう思いますね。本の作り方も、問いかけをするような作りにしていかないといけないと思う。いま本はたくさん出ているけれど、内容が似たり寄ったりでしょう? たとえば、飛鳥時代を扱った書籍はいっぱいあるけれど、どれも「石舞台古墳」だとか同じことが書かれている。しかし、飛鳥で何が考えられてきたのか、そういう問いかけをする本はほとんどない。知識を得るだけなら、本じゃなくてスマホで充分なんです。年代や出来事が知りたくなったらスマホでいつでも調べられる。「なぜなのか」が必要なんです。そして、「どう生きるか」。
僕は図書館に来る人の多くが、潜在意識下ではそれを探しにやってきているのではないかと思っています。「なぜなのか」「どう生きるか」という問いに対して、答えは出ないかもしれないけど、その道筋にいたる情報を発信できる図書館でいたいと思いますね。
せんだ・みのる 奈良県立図書情報館館長、国際日本文化研究センター名誉教授。専攻は歴史地理学。著書に『古代日本の歴史地理学的研究』『邪馬台国と古代日本』『古代日本の王権空間』 『伊勢神宮―東アジアのアマテラス―』『古代天皇誌』など多数。
文/植月ひろみ 写真/植月ひろみ、(c)leungchopan / fotolia
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