コンクリートの強度を高める研究最前線大学院生

体感!土木の現場最前線!!(その3)@芝浦工業大学公開講座

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塩分を除去し、他の材料も加えて

材料中の塩分によって鉄筋のさびの進行が早まる。塩分を取り除くことができれば、さびを防ぎ、長い間、強度を保てるコンクリートを作ることができるはずだ。伊藤さんは、大学の実験室にある小型ミキサーで自分でコンクリートを練り、塩分の除去が期待できる塩害対策用混和材を配合してコンクリートを製作。塩害に強いコンクリートを作ることができたばかりでなく、セメントの種類によってその効果が異なることまで突き止めた。研究は実業界で評価され、第70回セメント技術大会で優秀講演賞を受賞した。

設備の整った芝浦工大の実験室では、他の研究も進んでいる。恒温恒湿室に保管されていたのは、製鉄所や火力発電所で出る産業副産物を材料に加えたコンクリートだ。含有する割合を変えたコンクリートをいくつも作り、収縮度などを測定して実用に耐えうるかどうかを確かめている。リサイクル資源を活用したコンクリートへの要請は強く、今後もこのような研究は増えていくという。倍率30万倍の顕微鏡も使ってコンクリートの強度や耐久性をミクロの視点から追求するのだ。

室温20度、湿度60%に設定された室内で、混ぜ込んだ素材による伸び縮みの差異を計測する

「この春から社団法人で研究員として働きます。そこでもコンクリートの研究に取り組みます。コンクリートはじつはまだまだわかっていないことが多いんです。そこを研究し続けて、すこしでも耐久性の高いコンクリートを開発できたら……」と伊藤さんは語る。

教授はもちろんだが、伊藤さんのように最前線の研究者たちもサポートに参加しているのが、まさに「現場最前線」講座の魅力のひとつだ。

豊洲から徒歩10分の芝浦工業大学

〔今日のポイント3つ〕
・世界で水の次に使われているのがコンクリート
・どこにでもあるコンクリートだが、未解明なことは多い
・コンクリートの耐久性アップは日本でも世界でも大きな課題

〔研究者の今日イチ〕
橋や道路、鉄道、土など、土木が扱うあらゆる分野を見直して、行き着いたのがコンクリートでした

〔前の記事〕鉄道も川も止めない外環道土木工事のふしぎ発見

〔おすすめ講座〕体感!土木の現場最前線!!~社会を支える土木の力~

取材講座データ
体感!土木の現場最前線!!第2回~2020年に向けて変わりゆく東京~ 芝浦工業大学公開講座 2016年11月12日

2017年2月13日取材

文・写真/本山文明

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