社会的認知能力とは、次の3つをいう。
●共感・感情移入ができる。
●複雑な仕組みが理解できる。
●ものごとを抽象化する能力がある。
その調査によれば、長時間座ってゲームを遊んでいる子供は、以上の3つの能力が低く、両者には何らかの相関関係があることがわかったという。しかし逆に、長時間遊ぶ子供が社会的認知能力が低いということもある。どちらが原因でどちらが結果か、さらにデータを調べたところ、どうやら社会的認知能力の低い子ほどゲームを長時間遊ぶ傾向にあるということがわかったそうだ。
子供の暴力性が下がり、社会的に好ましい影響が
もうひとつは2010年のアメリカの研究で、子供と一緒にゲームを遊んだらどうなるのかという研究である。その研究によりわかったことは次の3つ。
●「子供と大人がゲームを一緒に遊ぶこと」は、子供の行動や人間関係において、社会的に好ましい影響があるという可能性が示された。
●「子供と大人がゲームを一緒に遊ぶこと」は、子供の暴力性を下げるという可能性が示された。
●「子供と大人がゲームを一緒に遊ぶこと」と、「非行」との間には、明確な関係性は見つけられなかった。
つまり、「子供と大人がゲームを一緒に遊ぶこと」は、子供の社会性に良い影響を与え、暴力性を下げるという。
また、ゲームそれ自体も多様化している。たとえばオンラインゲームは、ネットを通じた新たなコミュニティの創設であり、ネットの中での社会性も生まれる。また、ゲームの枠組みを用いて、学習したり社会問題を解決したりする「シリアスゲーム」というものも登場しているという。この「シリアスゲーム」については、次回くわしく解説しよう。
(続く)
〔子供の能力を伸ばすには〕
発達障害、家庭で気づく3つのポイント
子供のやる気を引き出す言葉と親の態度
子供の才能を伸ばす場に 大学講座の新たな可能性
取材講座:「共に遊び学ぶためのゲーム~協調的シリアスゲームの可能性」(立命館大学土曜講座第3202回)
文/植月ひろみ 写真/植月ひろみ(講座写真)、(c)pololia / fotolia